インタビュー

Nothing's Carved In Stone “Spirit Inspiration”



4人の勢いは止まらない! 前作から3か月、〈らしさ〉と実験的な遊び心に満ちたニュー・シングルが到着!!



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4作目『Silver Sun』のリリース・ツアーを終えて約1か月半、Nothing's Carved In Stoneより同作からのリカット・シングル“Spirit Inspiration”が到着した。TVアニメ「絶園のテンペスト」のオープニング・テーマに起用されたこの曲は、同時に上述のアルバムの幕を切って落とす楽曲でもある。グルーヴィーに跳ね上がるリズムと不敵にギラつくギター・リフが冒頭からオフェンシヴに疾走する、このバンドの〈らしさ〉が随所に散りばめられたナンバーだ。

「確かにこの曲、作った時点から〈ウチのバンドがやったら絶対おもしろくなるな〉と思ってたんですよね。冒頭のところは6拍で1小節なんですけど、そのちょっと拍のおかしいところとか、間奏の楽器がホントにぶつかり合ってるみたいな感じが、俺の思う〈ウチらしさ〉であって。あと(アルバム版とは)マスタリングも違ってて音がだいぶ派手になってるから、聴き比べも楽しいかも」(生形真一、ギター)。

「詞では〈オーディエンスとの距離〉を表現したくて。僕らがバンドとして力を発揮するということは、その場に集まってるみんなが個々の立場での役割を果たすということと根本的には変わらない。そういう思いを込めることで、ライヴではよりオーディエンスと対等になれるんじゃないかって」(村松拓、ヴォーカル/ギター)。

通常盤には2つの新曲も収録。村松いわく〈己を知れよ、照らし出せよ〉が詞のテーマだという“Lighthouse”は、ギターとベースによる変則的なユニゾン・リフがのっけから野太い唸りを上げる、70年代ハード・ロック+プログレとでも言うべきクールかつドライヴィンな楽曲だ。

「この曲は、セッションの場で〈難解なリフを作ろう〉ってところから始まって……で、そう。70年代のハード・ロックっていうか、〈1回ぐらい(レッド・)ツェッペリンみたいな音で録ってみようか〉って。だから、ドラムセットもジョン・ボーナムが使ってたラディックで録ったのかな? コーラスは俺がやってるんですけど、レニー・クラヴィッツみたいですよね(笑)。でも、たまにはこういう遊んでる曲があってもいいかなって」(生形)。

一方の“BLUE SHADOW”は、伸びやかなメロディーと雄大なギター・サウンドがパノラミックなサウンドスケープを押し広げる、センシティヴさが余韻に残るバラードだ。

「“Lighthouse”もそうですけど、今回はシングルなんで、ちょっと実験的なことをやってみようかと。それで“BLUE SHADOW”は、歌もサビのコーラスも結構深めにリヴァーブをかけたりしてて。あと、こういう遅めのテンポで普通のリズムの曲って、実は作ったことがなかった。だから、聴く人も新鮮かもしれないですね」(生形)。

「よくわからないフラストレーションとか、不安とか、それに対する葛藤とか。若い頃ってそういうモヤモヤしたものを抱えてると思うんですね。でも、何かを行動に移すことで状況は変わる。だから、とりあえず自分を信じてやってみることが大事なんだよ、っていうことを詞にしたくて。僕はNothing'sを始めてからも〈どうなっていくんだろう?〉〈でも、自分で発するエネルギーでしか変われない〉って思ったことがあったんで、ここ何年かで言うと、この歌詞は自分に近いのかもしれない」(村松)。

ちなみに、カップリングは『Silver Sun』完成直後に行ったセッションで出来た、6曲中の2曲とのこと。残りの4曲の方向性も気になるところだが……。

「それもね、たぶんどこかで出します。すごく短い時間で作ったんですけど、そういうのってやっぱり勢いがあってイイ。おもしろい曲になってますよ」(生形)。



▼Nothing's Carved In Stoneの2012年作『Silver Sun』(エピック)

 

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年12月20日 13:30

更新: 2012年12月20日 13:30

ソース: bounce 350号(2012年11月25日発行)

インタヴュー・文/土田真弓