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インタビュー

Nothing's Carved In Stone “Out of Control”



リリース攻勢をかける彼らのニュー・シングルは、流麗なグルーヴのなかに4人の美点が凝縮されたダンス・ナンバー!



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昨年8月のフル作『Silver Sun』以降、コンスタントなリリースが続いているNothing's Carved In Stone。今回のニュー・シングル“Out of Control”は、無機質なプログラミングと多彩なフレーズで跳ねる生ドラム、リズム/メロディー・パートをすり替えながらひた走るギターとベース、スケール感を一手に担う村松拓(ヴォーカル/ギター)の伸びやかな歌と、流れるグルーヴのなかにNothing'sの美点が凝縮されたクールなダンス・ナンバーだ。

「前のアルバムはすごくシンプルな構成で、しかも隙間を活かして作った曲が多かったんで、今度は逆のことをやろうかと思って。だから音をなるべく詰め込んでみました(笑)。同期もあるし、ギターもベースもずっと鳴ってるし、どの音を聴いていいかわからないようにしてやろうと」(生形真一、ギター)。

「歌詞は少し重いんですけど、リスナーにとって音楽のあり方が多様化していくなか、俺らがバンドとして強くなるにはどうしたらいいんだろう?って。そういう気持ちを解き放つきっかけって、どこにあるかわからない。だから自分と向き合って、戦っていくしかないってことを書いてます」(村松)。

そして今作も、通常盤には2つの初披露曲をパッケージ。「“Out of Control”とは、作り方としては対極。人力の音しか入れずに、潔く作った」(生形)という、彼らとしては比較的シンプルな構造のソリッドなロック・チューン“Crystal Beat”は、リリックもわかりやすい英詞を心掛けたという。

「ライヴでストレートに伝わってほしくて。お客さんが俺たちの音楽で幸せな気持ちになってるのを間近で受け取れることが、俺、何より嬉しいんです。最近はMCでもそういうことを言ってるんですけど、歌詞でも一度書かなきゃいけないなと」(村松)。

そしてもう1曲は、ツアーで赴いた鹿児島の灰が降る風景など、村松が実際に目にした絵をモチーフにさまざまな〈愛〉を表現したという“Raining Ash”だ。

「バンド愛を歌ってるところもあります。〈Share our night〉──夜を分け合って、っていうのは、明暗の〈暗〉の部分も4人で越えていこうという思いがあって」(村松)。

そうした感傷的な詞世界をなぞるミディアムには、錆びた弦の質感を活かしたアコギや、6声のコーラスとシンバルのリヴァースを幻想的に重ねたブリッジなど、心震わせる意匠が多く施されている。

「そういう何気ない箇所にも時間をかけるのは大事かなって。レディオヘッドやナイン・インチ・ネイルズを聴いてると、リヴァースや声ひとつにしてもすごく考え抜かれてることがわかる。だからこそこれだけすんなり聴けるんだろうなって」(生形)。

時間を見つけては制作を行っているという彼ら。この最新作よりさらに先へ進んでいる現在の4人のモードを訊ねると……。

「もう5枚目だし、そろそろぶっ飛んだアルバムを作ろうかなって。〈理解されるだろうか?〉っていままではちょっと怖がってたような曲も、出していこうと思ってます」(生形)。



▼Nothing's Carved In Stoneの近作を紹介。

左から、2012年作『Silver Sun』、同年のシングル“Spirit Inspiration”、2013年のライヴDVD「A Silver Film」(すべてエピック)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年03月19日 15:15

更新: 2013年03月19日 15:15

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

インタヴュー・文/土田真弓