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インタビュー

竹達彩奈 『apple symphony』





「なんか夢を見ているようなちょっとふわふわしている気持ち……どの曲も素晴らしくてすごく素敵な作家さんたちにお世話になりながら作らせていただいたので」。

竹達彩奈のファースト・アルバム『apple symphony』は、一聴しただけでアミューズメント・パークに行ったときのような昂揚感と至福感に包まれ、ドリーミーでキラキラした音楽を好むポップ・ミュージック中毒者たちをたちまち虜にしてしまうであろう魔法が詰まっている。人気声優の彼女も、歌を始めた当初はちょっと不安だったとか。「歌に関して苦手というか、これを仕事にしてもいいんだろうかという気持ちもあった」そうだが、小林俊太郎、沖井礼二、筒美京平、いしわたり淳治、末光篤らと作り上げた3枚のシングル・リリースを経て成長したその歌声は、アルバムで加わった吉田哲人、永野亮、川本真琴、奥華子らの楽曲によって華やかさを増し、新録曲に対する表現力もより自由な広がりをみせている。

「歌うことによって役者とは別の引き出しを開けることができたような感覚なんです。いままで使うことのなかった引き出しを思いっきり引っ張ってもらえたような感じだと思いますね」。

全15曲のなかでも秀逸なのが、ギターに古市コータロー、ベースに沖井礼二、ピアノに小林俊太郎、ドラムに原"GEN"秀樹という豪華プレイヤーを迎えて〈お肉への愛〉を歌った本人初作詞のロックンロース・ナンバー“ライスとぅミートゅー”。

「アルバムを出すってなったときに〈じゃあ、1曲自分でも書いてみようか〉って言われ、〈そう言えば竹達さん、確か肉好きだったよね?〉みたいな話になって(笑)。打ち上げとか食事会とか何かあるたびに、私は〈お肉を食べたい!〉っていつも言っていたので、それだけ肉が好きなんだったら肉の歌を書けばいいじゃないかと。初めて作詞をするのに、大好きな肉のことだったら書きやすいだろうってことで(笑)」。

さらにこの曲には、〈ワクテカ〉〈キタコレ〉なんていう電波ソング的なコールも入っていて……。

「〈ワクテカ〉と〈キタコレ〉って言葉が気に入ってて、普段からよく使ってたんですけど、好きだったら〈じゃあ、入れちゃえ!〉って思って。この曲だったら、自分の詞だし、誰にも怒られないだろうし(笑)。とりあえず〈思い切り感〉みたいなのが出せたらいいなと思って入れました」。

身近な音楽はやはりアニソンという彼女だが、ふらっとCDショップに行って試聴しては、まったく知らなかったアーティストのCDを買ったり、カットに行った美容室で流れていた羊毛とおはなにハマったり、クラシックが大好きだったり……音楽に対するアンテナの感度は高いようだ。

「なぜかクラシック音楽が好きで、携帯プレイヤーに100曲以上入ってます。小学生の頃に授業とかで聴かされるじゃないですか。そのときから結構好きだなって思っていて。掃除の時間だったりに流れてるのを聴いてテンション上がったり……大人になってからより好きになったなとは思います」。

今回のアルバムに関して、いまは「自分の子供のような感覚で、歌わせていただいた曲たちを送り出すのがちょっと……親のような気持ちというか、大丈夫かしら?という気持ち(笑)」らしいが、すでに次のヴィジョンも持っているようで……。

「今回、肉の曲を歌わせてもらえたから、じゃあ次はもっと違う色の曲を歌ってみたいなとか。あと、今回はなんかネタな感じの詞に仕上がったので(笑)、次はもうちょっとメッセージ性の高い詞なども書かせていただけたらなあとか、夢とか妄想みたいなのはいろいろあるので、これからもCDを出させてもらえたらいいなーって(笑)」。



PROFILE/竹達彩奈


埼玉生まれ、声優/シンガー。2008年にアニメ「kiss×sis」のヒロイン役で声優デビュー。2009年に放映が開始されたアニメ「けいおん!」の中野梓役で注目を集め、同作のキャラクター・ソングも演じる。その後、ラジオのパーソナリティーなど活動の場を広げ、2012年4月にシングル“SInfonia! Sinfonia!!!”でシンガー・デビュー。同年9月にはセカンド・シングル“♪の国のアリス”を、2013年1月には筒美京平の書き下ろし作品としても話題となったサード・シングル“時空ツアーズ”を発表。いずれもオリコン・ウィークリー・チャートのTOP10内に送り込み、シンガーとしての注目も高まるなか、4月10日にファースト・アルバム『apple symphony』(ポニーキャニオン)をリリースする。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年04月10日 18:00

更新: 2013年04月10日 18:00

ソース: bounce 353号(2013年3月25日発行)

インタヴュー・文/山村哲也