インタビュー

矢沢永吉 『ALL TIME BEST ALBUM』

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デビュー41年目にして自身初のオールタイムベストアルバムが遂にリリース。1975年にリリースされたソロデビューシングルから、CMやドラマでも使用された楽曲。更には最新作『Last Song』からも収録。しかも選曲は矢沢本人が行い、すべてをリマスタリング。矢沢永吉の世界を凝縮した3枚組全41曲がここに!



次に期待するのは50周年!10年後もステージを駈け回り、マイクスタンドを蹴り上げているに違いない。

 矢沢ヒストリーを語る上で重要なベストアルバムは過去にも幾つかリリースされ、熱心なファンなら既に持っていると思うのだが、今回リリースされるベストアルバムとの決定的な違いはレーベルを超えた初のオールタイムベストであるということだ。キャロル解散後にリリースされた1975年のソロデビュー第1弾となったCBSソニー時代から始まり、活動の場をアメリカに移したワーナーパイオニア時代、日本国内の活動を重視した東芝EMI時代、そしてメジャーを離れインディーズ・レーベルを立ち上げたGARURU RECORDSから近年の楽曲も収録されているのも嬉しい。さらに選曲は矢沢本人が行い、すべてをリマスタリングという、ファンにはこれ以上のものはない、素晴らしい仕上がりになっている。その気になる内容だが、なんと3枚組で全41曲!本当は全曲紹介したいところだが、スペースの都合もあるので収録曲の中からいくつかをピックアップ。

 まずはオープニングを飾る曲は1977年リリースの“チャイナタウン”、目を閉じて聴けば優しい風が頬を撫でてくれる、そんな心地良い気分にさせてくれる。数あるバラードの中でも断トツの人気を誇る名曲。日本のロックシンガーとしては初の武道館公演を行ったのもこの年だ。なお今回のベスト盤に収録されたのは1998年にリリースされたセルフカヴァーアルバム『SUBWAY EXPRESS』からの楽曲を使用している。 “アイ・ラヴ・ユー,OK”は1975年にリリースされた記念すべきソロデビューシングル。<ロックシンガー矢沢>のイメージが先行しがちだが、バラードの名手である事も忘れてはならない。 1982年リリースの“ROCKIN’MY HEART”はドゥービー・ブラザーズのジョン・マクフィーがプロデュースし、作詞作曲を手掛けている。当時オーディオメーカーのCM曲に使用されたのもファンには懐かしい思い出だ。またライブアルバム『1982P.M.9LIVE』ではジョンもギタリストとしてバンドメンバーに参加している。“スタイナー~逃亡者”、はアンドリュー・ゴールドがプロデュースを担当し、洗練されたウエストコースト・ミュージックを聴かせてくれる。“アリよさらば”は1994年に放送されたテレビドラマの主演と主題歌で話題となる。ステージではシャウトし、全身全霊でロックする矢沢がドラマでは冴えない先生役を演じている。もしかしたらこのギャップこそが狙いだったのかも知れない。“コバルトの空”は2009年に設立されたGARURU RECORDS第一弾のアルバムからの曲、この年は今や伝説と化したタワーレコード新宿店の屋上で自身初のインストアライブを行い、ビルの屋上が燃え上がるほどの熱気に包まれた。さらにNHKの「第60回紅白歌合戦」にシークレットゲストとして出演した時に熱唱したのもこの曲だ。“IT'S UP TO YOU!”は最新作『Last Song』からの曲で、開業前の東京スカイツリーの天望デッキからの生中継ライブで、この曲を披露した事も記憶に新しい。



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 さて、こうして収録曲を見渡すと名曲が多いだけに今回のベストに収録されなかった曲もあり、意外にも“トラベリン・バス”や“止まらないHa~Ha”と言った代表曲が収録されていないことに気付く。「永ちゃん、なんで?」、「40年間の歴史を41曲だけでは足りないよ、永ちゃん!」と多くのファンは思ったに違いない。勝手な想像だけど、実は第2弾もあるのでは?と思わせるところに、矢沢自身が選曲した意図があるのではないだろうか。40年間の集大成的なベストアルバムだが、これは一つの通過点であり、次に期待するのは50周年!「気が早いよ」と言われそうだが、海外ではローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー、エリック・クラプトンと言ったレジェンド達が50周年を迎えた今も、アルバムをリリースし、ツアーもこなして、常に第一線で活躍しているではないか。矢沢の10年後も今と変わらずステージを駈け回り、マイクスタンドを蹴り上げているに違いない。次は何を仕掛けてくるのか?そんなサプライズをファンに提供してくれる矢沢の魅力は10年後も変わらないだろう。日本が世界に誇るキング・オブ・ロック矢沢から目が離せない。

ひとまず、永ちゃんサンキュー、ロックンロールに感謝しようぜ!




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■Album……『Stranger』 now on sale!

[DISC1]
01.チャイナタウン
02.ウイスキー・コーク
03.YES MY LOVE
04.アリよさらば
05.アイ・ラブ・ユー,OK
06.黒く塗りつぶせ
07.ROCKIN’ MY HEART
08.東京
09.バイ・バイ・サンキュー・ガール
10.スタイナー(Introduction)~逃亡者
11.YOU
12.あの夜・・・
13.雨のハイウェイ
[DISC2]
01.棕櫚の影に
02.苦い雨
03.もうひとりの俺
04.ROCK ME TONIGHT
05.心花(ときめき)よ
06.長い黒髪
07.Loser
08.Risky Love
09.時間よ止まれ
10.ロックンロールドラッグ
11.レイニー・ウェイ
12.親友
13.ラスト・シーン
14. SOMEBODY'S NIGHT 
 [DISC3]
01.共犯者
02.コバルトの空
03.HEY YOU・・・
04. IT'S UP TO YOU!
05.Still
06.ONLY ONE
07.背中ごしの I LOVE YOU 
08.サブウェイ特急
09.バーボン人生
10.A DAY
11.サイコーなRock You !
12.居場所
13.鎖を引きちぎれ
14.PURE GOLD

 

■PROFILE…矢沢永吉(やざわえいきち)

972年ロックンロールバンド<キャロル>のリーダーとしてデビュー。2012年にデビュー40周年を迎え、2年振りのオリジナルアルバム『Last Song』をリリース。日本武道館公演回数は122回とし、最多記録を更新している。



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記事内容:TOWER+ 2013/5/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2013年05月10日 00:00

ソース: 2013/5/10

TEXT:杉本康雄