INTERVIEW(3)――中島ノブユキさんとの共作みたいな思いもある
中島ノブユキさんとの共作みたいな思いもある
――全体的にしっとりしたメロウな曲が中心ですが、“光をあつめて”は力強いギターが唸っていますね。
「メランコリックというよりは自暴自棄な感じというか。雨のなかをバイクで走っているような? 私は運転しないからわからないけど(笑)。傘なしで雨に打たれてテンションが上がってる感じですね」
――さらに屋敷豪太さんのドラムが、滑らかなグルーヴを生み出しています。
「もう、屋敷さんのドラムはミラクルですね! ロックというのとはちょっと違って、自分の脈みたいに自然な感じがする。クサい言い方かもしれないけど〈スムース〉なんです」
――歌詞をおおはた雄一さんが手掛けていますが、おおはたさんは前作でも歌詞を提供していますね。
「“その町の名前は”がすごく良かったので、もう1曲書いてほしいと思ったんです。これは中島さんが書いた曲なんですけど、自分よりもおおはた君が書くほうが良い気がしてお願いしました。女性のこととして歌っているけど、おおはた君の男の部分が出ている気がしますね」
――一方、“Daily Life”は、打ち込みのビートが“光をあつめて”とはまた違った心地良いグルーヴを生み出しています。
「中島さんの魅力が炸裂している曲ですね。アコースティックだったり、クラシカルなものが中島さんの得意分野だというイメージがありますけど、中島さんはいろんな音楽を聴かれていて、ダンス・ミュージックもお好きなんです。打ち込みといい、ベースラインといい、すごくセクシーですよね」
――この曲はかなり前に出来た曲だとか。
「そうなんです。私が24~25歳の頃、私と中島さんとLITTLE CREATURESの鈴木(正人)君と3人で曲を持ち寄って、中島さんの実家でレコーディングしたことがあって。その時に出来た曲なんです」
――その時にデモテープを作って以来、完成させることなく眠っていた?
「そう。誰にも使われなくて良かった(笑)。この曲はずっと好きで、いつかレコーディングしたかったんです。だから今回中島さんとやることになって、この曲をぜひやりたいと思ったんです」
――中島さんとの歴史が詰まっている曲なんですね。
「思い起こせば、いちばん最初に中島さんにアレンジをお願いしたのがPort of Notesの“雨の降る夜に”という曲で。中島さんとは〈雨〉繋がりなんですよね」
――アルバムの真ん中には中島さんのピアノ・ソロ“Prelude for the rain”が挿み込まれていたりして、今回のアルバムは中島さんと畠山さんのコラボレーション・アルバムみたいな雰囲気もありますね。
「ええ。私のソロとして出させてもらってますけど、共作みたいな思いはありますね」
――畠山さんと中島さんの音楽が共有する世界観、美意識があるとしたら、どんなところでしょうか。
「メランコリックなところだと思います。音楽に求めるものが近いのかも。でも、あまり、そういう話はしないんですよね」
――お2人の音楽は、どちらもデリケートな感覚がありますよね。ヨーロッパ的な質感というか。
「そうですね、アメリカンというよりはヨーロピアン。中島さんの音楽を聴いていると、ポルトガルの古い街並みとかが浮かんでくるし。今回のアルバムも、ヨーロッパの古都みたいな雰囲気を求めていたところがあったように思えます」