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インタビュー

INTERVIEW(2)――どうしてもアウトサイダーな気持ちになってしまう



どうしてもアウトサイダーな気持ちになってしまう



Leo今井_A2



――と同時に、音楽性の幅もグンと広がっていますよね。例えば“Furaibo”は、ハンク・ウィリアムズの歌唱で知られる1940年代のカントリー曲“Lost Highway”(作曲はレオン・ペイン)にインスパイアされたそうですが、こうしたフォークロア・ミュージックへのアプローチが今作では一段と効果的に採り入れられています。どういうきっかけでこういう作品に触れるようになったのですか?

「その曲は、2年くらい前に『Knuckle』という映画を観て、そのエンディングでカヴァー(リアム・オ・メンリーによる)されていたのを聴いたのがきっかけでした。あ、いい曲だなあって。後から調べたらハンク・ウィリアムズが歌っている曲で。思えば、私の父が昔からハンク・ウィリアムズをずっと聴いていて、それを小さい頃から聴いていたんですよ。無意識でしたけど。そういう意味では意義深い再会というか、ずっと自分のなかにあった音楽とまた向き合うきっかけがそこにあったという感じでした。それで、そこからインスパイアされた曲を作ってみようと思ったんです」

――“Lost Highway”のどういうところに改めて惹かれたのですか?

「歌詞ですね。俺は孤独な放浪者さ、俺みたいな風来坊のダメなヤツになるなよ……というような。それは、まさに自分自身にも置き換えることができるんです(笑)。音楽をやっている自分に重なるんですよね。あと、自分の性格ですね。どこに行っても馴染めない、どうしてもアウトサイダーな気持ちになってしまう、というのが自分にはあって。だからこの曲の歌詞にはすごく共感できるんです。そういうところから影響を受けて“Furaibo”を書きました」

――日本で順調に活動しているいまなお、自分をアウトサイダー、風来坊だと感じているわけですか。

「そうです。そもそも私みたいな音楽指向の人って、周囲にはほとんどいないですから(笑)」

――まあ、確かに90年代初頭のミクスチャー・ロックのスタイルでカントリーやアフリカ音楽にもアプローチして、しかもかなりしっかりと音が構築されている。丁寧に音と音とを組み合わせた、プロフェショナルなポップ・ミュージックという仕上がりになっていますよね。この完成度の高さは少なくともいまの日本ではかなり珍しい。

「確かにそうです。でも、これでも音数は今回だいぶ削ったんですよ(笑)」

――音圧が高いから音数が多く感じるのかも。

「あ~! なるほど。でも、4つの楽器しか鳴ってないんですよね。音に厚みがあるってことなのかもしれないですね」

――しかも、採り入れている音楽の要素は結構多岐に渡っているのに、とっ散らかっていない。

「それは嬉しいですね。やっぱりひとつのストーリー……というか流れを意識して仕上げていたからかもしれないです。例えば1曲目の“Tabula Rasa”の一部が2曲目の“Omen Man”に繋がっていき、“Omen Man”の一部がその次の“Furaibo”に繋がっていく……という具合に、テーマの連鎖をかなり意識していたからじゃないかと思いますね。それと、構築されていて完成度が高いというのは、もちろんそこがすごく重要だと思っているからなんです。僕は80年代~90年代のハード・ロックやヘヴィー・メタルも好きなんですが、それは高い技術とアグレッションに惹かれるから。音がヘヴィーで攻撃的でパンチがあるからなんですよね」





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掲載: 2013年06月26日 17:59

更新: 2013年06月26日 17:59

インタヴュー・文/岡村詩野

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