インタビュー

メンバーも解説する、『Mira』から透けて見えるさまざまな音楽



MUMFORD & SONS 『Babel』 Gentlmen Of The Road(2012)

『Mira』に通底するムードはネオ・フォーク・ブームを牽引するこのバンドを引き合いに出したくなる。「90sのエモとか、感情がサウンドに出る音楽が好きだったんですけど、トラディショナルな音楽を劇的にして切ないメロディーを乗せるのはルール違反な気がしてたんです。でも、彼らが実際にそれを上手くやっていて衝撃を受けました」(高本)と、やはり少なからず刺激はあった模様。*金子

 

OF MONSTERS AND MEN 『My Head Is An Animal』 Universal Republic(2012)

新世代フォーク勢のなかでもアイスランドのオブモンは静かに火種をくゆらせていくような歌世界が特徴。CBMDの“Just leave me be”などを聴けば、ジワジワと盛り上げていく構成力もさることながら、そこから醸し出される壮大な多幸感、ドラマ性も共通していると気付かされる。*岡村

 

THE NATIONAL 『Trouble Will Find Me』 4AD(2013)

音像の美しさやストリングスの重用などは、このブルックリンの顔役とも言うべきバンドとのリンクが感じられると伝えたところ、「すごい好きなバンドですけど、〈これは自分には無理だな〉って思って聴いてるところもあったから、嬉しいです」(高本)とのこと。ナショナルが旗振り役になった、ダーティ・プロジェクターズらが参加したコンピ『Dark Was The Night』もお気に入りらしい。*金子

 

THE STROKES 『Comedown Machine』 RCA (2013)

アーハ“Take On Me”を連想させる“Alone in the dark”のギター・フレーズは、このアルバムに収録の“One Way Trigger”とまさかの元ネタ被りかと思いきや……。「あの曲はもともと90年代のエモっぽいアレンジで進めてたんです。なので、CHUN2としてはキャップン・ジャズの“Take On Me”カヴァーを意識してると思います(笑)」(高本)。*金子

 

THE BEATLES 『Please Please Me』 Apple/Parlophone(1963)

タイトルからしていかにもな“Please, Please, Please”は、彼らなりのビートルズ・オマージュ。「ポップでサイケっていうのは意識しつつ、ビートルズのどの曲っていうんじゃなくて、〈メンバー各々が思うビートルズ〉みたいな感じ(笑)。それでみんなの違った捉え方が入ることで、曲がおもしろい方向に進みましたね」(高本)。*金子

 

GIGI 『Maintenant』 Tomlab(2010)

“Please, Please, Please”のウォール・オブ・サウンドな音作りはブライアン・ウィルソン的。ただ、手法に凝りすぎず、懐かしめの歌モノになっているあたりはソングライターとプロデューサーによる本ユニットとも通じる。今様ドリーム・ポップとして聴けるのも両者の魅力。*岡村

 

HERMETO PASCOAL 『A Musica Livre De Hermeto Pascoal』 Fontana(1985)

戸川作のストレンジなインスト“sciolism”は、このブラジルの鬼才からの影響があるとか。「パスコアールが池に浸かって空き瓶を吹いて音程を付けているような動画があって、その雰囲気を入れようと。スタジオに転がってたいろんな瓶で試したんですが、ペリエの瓶がいちばん良かった(笑)」(戸川)。*金子

 

NEUTRAL MILK HOTEL 『In The Aeroplane Over The Sea』 Merge(1998)

メンバーの思惑とは違うかもしれないが、特に“21 years old”“El Dorado”あたりのドラムやギターの乾いた音は、近年活動を再開し、初来日も予定されているUSのこのバンドに通じそう。両者ともくすんだ音の質感へのこだわりがありそうで、それを活かした曲を作り、演奏しているような節も。*岡村

 

HiGE 『QUEENS, Danke SCHON Papa!』 コロムビア(2013)

ビートルズやビーチ・ボーイズへの憧憬が感じられ、フォーキーな部分もありつつ、ロック・バンド的なダイナミズムもしっかり持ち合わせている。そんな近年のCBMDのスタイルに通じるのは、邦楽で言えばHiGE(こちらはドラマーが3人いますが)がいちばん近いと言える!? *金子

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年07月22日 19:40

更新: 2013年07月22日 19:40

ソース: bounce 356号(2013年6月25日発行)

文/岡村詩野、金子厚武

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