インタビュー

Michel Camilo

©Frankie Celenza

ピアノ・ソロって?

ミシェル・カミロがピアノソロをリリースした。今回もそしてこれまでもドミニカ共和国出身らしいラテン的な盛り上がりと、繊細なピアノのタッチでピアノファンを魅了してきたカミロに、ピアノソロのアルバムを制作することの魅力について聞いた。

「私は常に、アルバムの一つ一つは、(収録した)それぞれの楽曲が、アルバム全体のストーリーに関連づけられたチャプターとなるような『開かれた本』であると考えています。今回は、これまでのキャリアを通じ、私自身が憧れ、影響を受けた音楽を収録し、膨大で豊かなジャズのソロピアノの遺産に貢献したいと考えました。(演奏にあたっては)あらゆることを配慮しました。適切なテンポ、それぞれの楽曲に合ったキー、コントラストや驚きを用意すること、などです。というのも私は、色彩感、テクスチャー、リズム、やニュアンスを絶えず変化させて、ある特別な感情や興奮へと向かうのです。すべてのジャズピアニストは、ソロで新鮮なサウンドにたどり着くというのが目標であり、その為には、聞き手をアルバム最後まで飽きさせない計画が必要です。ピアノは私にとってオーケストラのようなもので、色彩、テクスチュアーそしてニュアンスといった要素は私のピアノ演奏においてとても重要です。 たとえば、《サンドラのセレナーデ》でやったように、文字通り鍵盤を愛撫する(ショパンが言う《la souplesse》)ようなやり方で親密で美しい響きを奏でます。あるいは 《チャン・チャン》の(音程が)広く分厚い和音や、《テイク・ファイヴ》のスイングする複雑なポリリズムの点描的な奏法、官能的な響きの《アローン・トゥゲザー 》や《愛の売り物(ラヴ・フォー・セール)》、 《オン・ファイア》のような、奔放にラテン的!な演奏もできるのです。『音符に潜むメッセージ』が伝わるようこころがけています。そのためには(サウンドイメージを持つ事と演奏技術)その両方が重要です。技術によって感情や経験といった心の中にある情感を自由に表現できるのです。私の先生の口癖は「どんなに美しい音楽を聞いても、演奏できなかったり、一緒に楽しめないとすればなんの意味があるの?」でした。(ジャズは)まず即興的である、ことが重要です、そして私が〈自己発見のプロセス〉と呼ぶ、クリエイティブに音楽が流れる出す状態を楽しむことも重要です。クラシックでは、演奏者は楽譜にかかれた作曲家の想いに近づこうします。ジャズでは、即興、聴衆の前で“即席の作曲”することが求められます。しかしなによりあなた自身が演奏を楽しむ事が大切です。私が、新譜『ワッツ・アップ?』を楽しんだようにね!」

LIVE INFORMATION
11/13(水)〜17(日)
出演:ミシェル・カミロ・ビッグ・バンド  
会場:ブルーノート東京
http://www.bluenote.co.jp/



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年07月11日 20:49

ソース: intoxicate vol.104(2013年6月20日発行号)

interview&text:高見一樹