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インタビュー

Salley “green”



ネオアコやアイリッシュ・トラッド風味のギターと、凛とした歌声を湛えたデビュー曲が多くの聴き手を捕らえた男女デュオ。そのポップネスを象徴する新曲が到着!



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80年代のネオ・アコースティック、アイリッシュ・トラッドなどを想起させるギター・サウンド、穏やかで美しいメロディーライン、そして凛とした空気とノスタルジックな雰囲気が共存する歌声によって、新鮮かつ普遍的なポップ・ミュージックを紡ぎ出す男女デュオ、Salley。5月に発表されたデビュー・シングル“赤い靴”のMVの再生回数が40万回を超えるなど、彼らの音楽は多くのリスナーによって共有されはじめている。

「ひとりでシンガー・ソングライターとして活動していたときは〈自分の声には魅力がないのかもしれない〉と思っていたし、細い声質にコンプレックスも感じていて。上口(浩平、ギター)君に〈声が良い〉と言われたことからSalleyが始まったんですけど、“赤い靴”を聴いてくれたたくさんの方々から声を褒めてもらえたのは、全身がこそばゆくなるくらい嬉しかったですね」(うらら、ヴォーカル)。

「Twitterにも〈声が良い〉っていう書き込みがたくさんあったんですけど、僕としては〈そうでしょ!?〉みたいな感じです(笑)。それを信じて音楽を作ってきたので」(上口)。

今回タワーレコード限定でリリースされるニュー・シングルの表題曲“green”にも、彼らの音楽的な魅力が美しく反映されている。ケルトのフォークロアをイメージさせるギター・フレーズ、軽やかで瑞々しいメロディーが溶け合うこの曲は、Salleyの持つポップネスを象徴する楽曲と言えるだろう。

「爽やかで明るい曲を作ろうと思ったんですよ。イントロのギターに関しては、自分のなかで民族的なフレーズをイメージしてました。マンドリンやティン・ホイッスルも入ってるんですけど、匙加減には気を遣いましたね。楽しくなって入れすぎちゃうと、J-Popから離れてしまうので。シャッフルのリズムもうららさんっぽいと思うんですよ。丘を駆け抜けてるような感じで……」(上口)。

「私は大阪の中心部に近いところで育ったので、実際に丘を駆け抜けたことはないんですけど(笑)――でも、この曲は個人的にもめちゃくちゃ好きです。爽やかなメロディーもいいなって思うし、私が好きな夏の季節感も出てるので」(うらら)。

「上口君が歌っているデモを聴いたときから、タイトルは決めてました」といううららのコメント通り、明確なイメージを元に制作された“green”。初夏の爽やかさと恋の始まりが重なる歌詞からも、鮮やかなヴィジョンが真っ直ぐ伝わってくる。

「高校生くらいのときの恋愛って、永遠に続くような気がするじゃないですか。〈いつかこの人と結婚して……〉って考えたり(笑)。実際にはほとんどの恋愛が終わるんだけど、その瞬間だけは〈ずっと続くはずだ〉って信じてもいいと思うんですよね。私は夏が始まるときも〈楽しい夏もすぐに終わっちゃうんだな〉って考えたりするんですけど、この曲のなかでは〈そういうことを忘れて、いまを楽しもう〉ということを書いてみたくて」(うらら)。

カップリングには、「何の知識もなく音楽を聴いていた、90年代のJ-Pop──真心ブラザーズなんかを思い出しました」とうららが評する切なさを帯びたミディアム・チューン“愛の言葉”、「〈試しにアコギと歌だけでやってみましょうか〉というテイクがそのまま採用されました。最初のテイクがうららさんの歌もいちばん良かったんですよ。すごく煌びやかで」と上口が語る“赤い靴”のアコースティック・ヴァージョンを収録。心地良いセンティメンタリズムを湛えたメロディー、オーガニックな手触りを持ったサウンドメイク、芳醇な響きを纏った歌による絶妙なケミストリーを、たっぷりと感受してほしい。



▼Salleyの2013年のシングル“赤い靴”(ビクター)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年08月23日 19:45

更新: 2013年08月23日 19:45

ソース: bounce 357号(2013年7月25日発行)

インタヴュー・文/森 朋之