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インタビュー

高嶋ちさ子

「ヴァイオリンの音色でクラシックの名旋律を楽しんでいただきたいです」

2年振りのソロ作にも、ハイフェッツの編曲が有名にしたポンセ《エストレリータ》、クライスラー《前奏曲とアレグロ》等の王道曲から、2大《アヴェ・マリア》のメドレー他、ヴァイオリンの魅力が満載。

「コンサートに来て下さるお客さんにはクラシックが初めてという方も多いので、敷居は低く、今回もヴァイオリンで弾いて自然に美しい楽曲を選びました」
ピアニスト達との息もぴったり。フォーレ《ラシーヌ讃歌》ではチェロ、ブラームス《子守唄》やメンデルスゾーン《歌の翼に》では自身がプロデュースする〈12人のヴァイオリニスト〉との共演も聴き所だ。

「レコーディングであらためて〈12人〉の演奏を聴くと、ああこの7年でみんな成長したんだなと感慨深いです。彼女たちを手掛けることで私の方もかなり支えられていて、互いに良い影響を与え合っていると思います。…まあ面と向かっては言いませんけどね(笑)」

コンサートでも最近よく演奏すると云うピアソラ《リベルタンゴ》も気心の知れた仲間達との打ち解けぶりが演奏から伝わってくる。ちなみにドビュッシーの名曲《亜麻色の髪の乙女》が実は少し苦手だとか。

「四角四面がきっちりして、すぱっと割れるような物が性格的に好き。抽象画っぽいのは得意じゃなくて(笑)。印象派のようなフランスものは弾いているうちに迷路を彷徨うみたいにならないように気をつけないと…」

2011年にカレッタ汐留のXmasイヴェントのために書いた自作曲《Blue Forest》も光る。

「今年の〈live image 13〉のツアーでもずっと弾いていました。今回はトリオ版で楽しんでもらえたらと」

更には、ウェブ上のライブラリーで発見したというカナダ人作曲家ブリッジスの《ケルト組曲 》(エア)や、アメリカ作曲家シェーンフィールド《カフェミュージック 》(第1楽章)等、知られざる作品にも挑戦。

「ブリッジスのこの素敵な楽曲はいわゆるアイリッシュ音楽とは違い、クラシック的な弾き方ができるところ もしっくりきました。コンサートでアンコール曲前の〈箸休め〉的に使うのもいいかもしれません。シェーンフィールドはマイアミのニュー・ワールド・シン フォニーにいた頃、指揮者のマイケル・ティルソン・トーマスがよく採り上げていたのを憶えています。ユダヤ民謡風の旋律がとても印象的ですね」

〈めざましクラシック〉等の企画コンサートも好調。子育てに奮闘しながらメディアへの出演に執筆と活動の幅を拡げ、お茶の間で最も親しまれる演奏家である。
「長男は私の苦労を見て、楽器だけはやりたくないって。でも下は私を世界一の演奏家だと思っているみたいで…まだまだ頑張らないといけないです(笑)」

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年09月03日 13:01

ソース: intoxicate vol.105(2013年8月20日発行号)

interview&text:東端哲也