MILOS
©Margaret Malandruccolo / DG
モンテネグロ出身、世界が注目する若手ギタリストが登場
若手ギタリストで今最も注目されているミロシュ。スペイン、地中海をテーマにしたデビュー作の流れを汲む作品として2作目『ミロシュ~ラテンの哀愁』では南米の音楽に取り組み、ヴィラ=ロボスやブローウェルらのクラシック楽曲に加えて、《ベサメ・ムーチョ》などポップ・ソングも多く演奏している。
「最初にこのアルバムを発表した時は、クラシックのコアな楽曲だけが収録されていた。その後、ツアーで世界を旅するなかで、もう少し曲を加えたいという思いと、毎晩演奏するなかで、《リベルタンゴ》がどんどん変化して、全く異なる曲に成長していった。それをアルバムにも反映させたいと思い、この曲の再レコーディングとポップ・ソングを追加収録した〈ゴールド〉盤をリリースすることにしたんだ」
《マシュ・ケ・ナダ》や《イパネマの娘》など、そのポップ・ソングのアレンジを世界最高峰のギタリスト、セルジオ・アサドが担当している。
「おそらくこれらの曲をクラシック・ギターで演奏するのは僕が初めてだと思う。アサドは、有名なポップ・ソングの誰もが知っているメロディを生かしつつ、まるでクラシック・ギターのために書かれた曲のような素晴らしいアレンジをしてくれた。今後これらの曲がギターの定番曲になっていくような気がしている」
楽曲もそうだが、オーケストラやソプラノ歌手のアンナ・プロハスカと共演するなど、演奏もソロ以外に取り組むなど、多彩さが今回は際立っている。
「僕自身はソロ演奏が好きだけれど、オーケストラは、大勢の人のエネルギーが集約されることでとてもエキサイティングな演奏が生まれるし、ギターは19世紀まで伴奏楽器の色合いが濃かった。だから、今でも歌手との共演は相性がいい。多彩にすることでみんなにも共感してもらえるのではないかと思ったんだ」
モンテネグロ出身で、奨学金を得てロンドンの王立音楽院に留学して、首席で卒業した。これは、本当にひとりで演奏しているのかと、疑いたくなるほどの高度なテクニックと共に美しい音色でも高く評価されており、ミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド・ウェバーもミロシュのことを絶賛している。
「彼は、僕のことを応援してくれていて、これまでとはちょっと異なることをやってみないかと、今年12月にロンドンで上演される新作ミュージカル『スティーヴン・ウォード』のテーマ曲をレコーディングさせてくれた。いい経験になったと思っている」
大きなプロジェクトになるという3作目の企画もすでに進行しており、今年末から来年にかけてますます世界の注目がミロシュに集まることになるだろう。