インタビュー

coba



3つの“封印”

Coba_A

ソロ・プレイヤーとしてデビューする以前、cobaは3つのことを“封印”したのだという。「一つはカヴァーをしない。そして歌の伴奏をしない。そしてソロ」。その後、キャリアを重ねる中でカヴァーも歌の伴奏も解かれていって、最後に残ったのがソロなのだという。

「デビューした20数年前、アコーディオンのイメージを変えるために不可欠なことだと決めた“封印”なんです。それまですごくイメージが悪い楽器でした。だけどそのイメージを変えるために動いた人は日本人で誰もいなかったんです。こんなにもポテンシャルが高い、素敵な楽器なのに、世間はこんなにもねじ曲がった見方をするんだろうと、僕は小学校4年生で楽器を手にしてから考えつづけていたんです」

カラフルなボーダーのシャツを着て、この上なくおしゃれで、印象的なメロディを奏でるcoba。そこだけを見ていると器用で世渡り上手なアーティストに見えるかもしれない。しかし話をしていると、音楽に対して、さらには生き方においてもしっかりした意志を貫いていく、ぶれない人だということがわかってくる。

そんなcobaが自らに課した“封印”。カヴァーと伴奏を解禁したきっかけの話もとても面白いが、それはまたの機会にするとして、ともかくソロ解禁。そして初めてのソロ・アルバムの話になる。

「基本的にアコーディオンはソロ楽器です。一人オーケストラなんて言われるけれど、あれが嫌でね。でもライヴなどではソロの部分もありましたし、またそれがウケるんです。ソロでのツアーも、ほんの数本ですがありましたが、ソロを1枚のアルバム刻印しようとはしなかった。でも昨年20周年を終えて、そろそろいいかな、やりたいなあと思うようになりました。もう35枚目だしね。これからは下り坂だから(笑)」

当然アルバムづくりは一人きりの作業になってくるはず。メンバーを集めるなど、いろいろな準備も要らないから気楽なものかと思うと、そうはいかないのがcobaらしい。「おそらく金輪際ソロ・アルバムは出さないと思うので、それだけにいろいろ考えてしまいます。だから演奏しているより悶々としている方が長い(笑)。それにここまで創り上げてきたcobaサウンドといったものがあるので、そのクオリティを保つためにいろいろなことを試したりもしています。これも一人だからできることですけれどね」

いずれにしても聴き手にとっては待望のソロアルバム。こうしてcobaが悩み苦しむほど、クオリティが上がることだろう。さて一体どんな“ソロ”を聴かせてくれるのか……今度はこちらが悶々とする番だ。



LIVE INFORMATION


『全国ソロライブツアー』

○11/21(木)岩手・プラザおでって
○22(金)宮城・仙台darwin
○24(日)山形・シベールアリーナ
○2014年1/18(土)大阪・ザ・フェニックスホール
○19(日)兵庫・滝野文化会館ホール
○26(日)東京・日本橋三井ホール
○31(金)名古屋・名古屋市芸術創造センター...and more!
http://coba-net.com



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年11月05日 10:00

ソース: intoxicate vol.106(2013年10月10日発行号)

interview&text:渡部晋也