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インタビュー

Double Rainbow=小沼ようすけ×宮本貴奈



ダブル・レインボーは“奇蹟の邂逅”の吉兆

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雨上がりの空を見上げると、鮮やかな虹のすぐ近くにもうひとつ淡い虹が見えることがある。“ダブル・レインボー”と呼ばれるこの虹は滅多に遭遇できないこともあり、見ることができたらラッキーだとされる。

小沼ようすけと宮本貴奈が結成したギターとピアノのアコースティックなデュオ・ユニットにこの吉兆を名づけたのは、「希少な自然のハプニングであることが僕たち2人の音楽的な出逢いとコンセプトを表現していると思ったから」と小沼。宮本も「オーガニックでナチュラルでオール・アコースティックなサウンドだから、ジャズにかぎらず自然を愛しているスローライフ的な意味合いに反応する人にも聴いてもらえるような、自然のなかであるがままに存在している2人のやりとりがそのまま音になったようなデュオ」と、彼女自身のデュオに対する感触を説明する。

2人の出逢いは7~8年前に遡り、以降はバンドの一員としてお互いを意識する関係が続いたが、デュオを考えるようになったのは2012年8月にギラ・ジルカをゲストに迎えた六本木アルフィーでのステージ。

「この2人でしか絶対に作れない世界観があると感じた」のがきっかけでアルバム作りへと前進。出来上がったアルバムは、宮本オリジナルの《レインボー》に始まり、スタンダード《オーヴァー・ザ・レインボー》で締めくくられるという構成。「“虹挟み”になりました(笑)」のは必然だったのかもしれない。

海が大好きな小沼と、川や湖が大好きな宮本が、“水”という要素を媒介に結びつき、その“水”に光が当たることで“虹”となり、遭遇した人々を幸せにする――。「期待せずに期待以上のことができる相手」だからこそ、ダブル・レインボーと呼べる必然的な偶然を呼び込むことができたのだろう。

偶然の“ダブル”といえば、小沼参加のもう1枚がリリースされた。トニー・モナコとジーン・ジャクソンによるオルガン・トリオで2012年12月に行なった東京・コットンクラブでのライヴ盤だ。ダブル・レインボーとは対照的なサウンド&アプローチで、「ジャズを始めたころに父が聴かせてくれた60年代後半の世界にドップリと浸って弾くことができた」というホットなプレイが満載。

「自分のなかでは、ダブル・レインボーとトニーたちとのライヴでやっていることでなにも変えていないんです。なにを弾いても自分は自分だという意識を、意識せずにもてるようになったというか……。僕はあくまでもジャズ・ギタリストなんだけれど、ジャンルにとらわれずにいろんなものが同時に、当たり前のようにできるというのは、ありがたいなと思いますね」



LIVE INFORMATION


『アルバム「Voyage」リリース・ライブ』
○12/19(木)浜松 Hermit Dolphin
○20(金)&21(土)名古屋 STAREYES
○23(月)桜上水IIDA JAZZ SCHOOL [ゲスト:飯田さつき(vo)]
○24(火)水戸 Girl Talk
○25(水)吉祥寺 Sometime
○2014/1/4(土)横浜 KAMOME
○7(火)青山 BODY&SOUL
○19(日)古河 CAFE Up's
○2/1(土)鶴ヶ島 HALLE
○2(日)水戸 Girl Talk [ゲスト:TOKU(F.Hr)]
○5(水)六本木 STB139 [ゲスト:TOKU(F.Hr)、ギラ・ジルカ(Vo)]



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月12日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:富澤えいち