インタビュー

イル・デーヴ



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世間が恋に落ちた…噂の〈太メン〉オペラ歌手ユニットがCDデヴュー!?

日本のオペラ界を背負って立つ4人の逞しい男声と、同じく存在感たっぷりのピアニストから成る重量級ユニット。2011年5月〈二期会WEEK in サントリーホール〉に初登場以来、圧倒的な声量とふくよかなアンサンブルで大注目の彼らが待望のCDデビューを果たした。

「世界的な人気グループ、IL DIVO(イル・ディーヴォ)を意識して、デブだって真剣に歌ったら格好いいんだぞという姿を見せたくて…(笑)。それに、みんなアンサンブルが大好きなんです」【大槻】

「意外とIL DIVOファンも僕らのコンサートを聴きに来てくれていて。この曲歌ってみたら、なんてブログに書き込んで下さったりするのが嬉しい」【望月】

美しい高音を備えたテノール望月哲也とリーダーでバスバリトンの山下浩司が外声、丸みを帯びた中音域が魅力のテノール大槻孝志とバリトンの青山孝志が内声を担当。そして声楽を知り尽くしたピアニスト、河原忠之のサポートも見た目通りの大きな存在だ。

「《朧月夜》や《ダニー・ボーイ》などボブ・チルコットさんの名編曲にも、河原さんの手が加わることで更に音に深みが出てきたのを感じます」【望月】

これまでのコンサートで人気を呼んだ曲を中心にセレクトした、いわばベスト盤的な選曲も強み。

「4人で最初に歌ったロイド=ウェバーの《ピエ・イエズス》や互いに歌い継ぐ感じの《ネッラ・ファンタジア》など、どの曲にも思い入れがあります」【青山】

「カザルスの《ニグラ・スム》のような少年合唱団で歌われることの多い曲も、本来の持ち味を残しつつ大人の雰囲気も出せたかなと思います」【大槻】

《川の流れのように》や、スペイン語と日本語による《マイ・ウェイ》、そしてIL DIVOのカヴァーで有名になった《パセラ》と、人生に対するポジティヴなメッセージを歌い上げる楽曲も素晴らしい。

「デビュー・コンサートが震災直後だったこともあって、歌の力というものを信じるようになった。特に日本語の歌が聴衆にダイレクトに伝わるのを実感しました。唱歌などを歌うと会場の皆さんの口が一緒に動いているのがステージの上から見えるんですね。それで《パセラ》のような曲は、歌う前に日本語訳を朗読するなどして、内容を伝えるようにしています」【望月】

ユーモラスなフレーズの繰り返しが楽しい、故やなせたかし作詞の《ロマンチストの豚》も必聴。

「元々自分もレパートリーにしていて、タイトルを云うだけで会場からどっと笑いがとれますが、どこか悲哀も感じさせるなかなか奥の深い曲です(笑)」【青山】

ボーナストラック《ホワイト・クリスマス》はまさに5人のサンタ。寒い季節にぽっと心が温まる1枚だ。



LIVE INFORMATION


『こがねいニューイヤーコンサート』
○2014/1/11(土)14:00開演 会場:小金井市民交流センター

『630コンサート〜充電の60分』
○3/18(火)18:30開演 会場:第一生命ホール
http://columbia.jp/ildevu/



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月16日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:東端哲也