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インタビュー

80KIDZ 『80:XX - 01020304』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年01月24日 19:30

更新: 2014年01月24日 19:30

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

インタヴュー・文/佐藤 譲



前作からの反動によるフロア・ユースな配信シングル群が、ついにフィジカル化! そこでは、粗削りながらセクシーな匂いを放つ〈不良の音楽〉が鳴らされていて……



80Kidz_A



反動的な流れへの共感

2012年作『TURBO TOWN』以降は長期に渡るDJツアーを敢行し、今年に入って5月、7月、11月と、配信シングルとしてダンス・トラックを発表してきた80KIDZ。そんな彼らが2013年の活動を総括した編集盤『80:XX - 01020304』をリリースした。この1年、新たに立ち上げられたレーベル・PARKを基盤にみずからの力で活動をしてきた2人、Ali&とJUNに制作の経緯を訊いてみると……。

「前回はロック色の強いアルバムをリリースして、その後にDJツアーで30か所くらい回ったんですけど、かけやすい曲がなかったんですよ。作りたいものとプレイしたい曲が分離してしまっていた状態だったので、その間を埋めていくような気持ちでしたね。それでデジタルでのリリースにして、その時々で作りたいものを即消費できるような形にしてやりました」(JUN)。

「2年くらいかけて生音と向き合って前作を作ってきたので、ロックに少し飽きてたのと、80KIDZはもともとクラブ・ミュージックを意識して活動していたユニットなので、その方向に立ち返りつつ、自分の流行りと上手く擦り合わせて作ってみようかなという感じでしたね」(Ali&)。

収録されている楽曲は、90年代初頭のエレクトロや、ウェアハウス・パーティーを盛り上げてきたアシッド・ハウスやレイヴ・トラックをアップデートしたかのような趣。粗削りながらどこかセクシーな匂いを放っているのが印象的で、例えばトドラ・Tや、最近ではディスクロージャーあたりと共振しそうなガラージ経由のディープ・テックやディープ・ハウスが鳴らされている。

「当時、僕が聴いていたのはR&Sをはじめとする90年代初期のダンス・トラックでした。そこに2000年代に台頭してきたエレクトロ以降のテクノ、例えばボーイズ・ノイズとかその界隈、あとはブロマンス(ブロディンスキやパラ・ワンをリリースしているフランスのレーベル)周辺のトラップみたいな(TR-)909、808の音使いとかが自然とサウンドに入り込んでいった感じです」(Ali&)。

「フランスの若手のアーティストと作業する機会があったんですけど、そのときに感覚を共有していた感じがあったんです。それをきっかけにして僕もそうしたインディー感のあるR&Bとかを掘っていった感じでしたから」(JUN)。

「R&Bがクラブ・ミュージックとの重なりを意識してたり、ヨーロッパのハウス・シーンがEDMとか大きなフロアでかかる音楽に対して90年代初期を彷彿とさせるトラックを提示するという反動的な流れにはすごく共感しますし、自分たちが何をやるかと考えたときに、自然とそうしたサウンドをチョイスした感じです」(Ali&)。



不良の音楽

強烈なアシッド・サウンドが繰り広げられる“SWG”、フューチャー・ガラージを経由したディープ・トラック“Wahaus”、初期ケミカル・ブラザーズを思わせる“Barkley”、ガジェット感溢れるキッチュなヴォーカル・ナンバー“I Got It!”──レイヴ・トラックにしろ、オルタナティヴなR&Bサウンドにしろ、ダンサブルなティン・ポップにしろ、そこに共通しているのはインディー・スピリットに裏打ちされた、80KIDZのアーティストとしてのスタンスだろう。自身の音楽の出自に関して2人は次のように語っている。

「レイヴにしてもそうなんですけど、ウェアハウスでやっているような音はストリート感が感じられるので、すごく好きなんです。僕らはEDMみたいに水着のお姉ちゃんが踊っているようなイメージのものよりは、汚い格好をした兄ちゃんが踊っているような音楽が大好き。トラックメイカーの諸先輩方にも〈EDMをやらないの?〉ってちょくちょく言われたりもするんですけど、僕はやりたくもないし、興味もない。例えばエリック・プライズみたいな大箱で映える曲は昔からプレイしてこなかった。エレクトロのムーヴメントから出てきたから誤解されがちだけど、僕らはもともとインディーっぽいサウンドや土臭いところを経由してシーンに出てきたので、そもそもの立ち位置が違うんですよ」(Ali&)。

さらにAli&は、そういったダンス・ミュージックをさらに魅力的なものにしている大きな理由として、オルタナティヴであると同時に〈不良の音楽〉であるからだと指摘する。

「最近のロックを聴いていてあまり魅力を感じないのは、不良が聴くような音楽じゃなくなっている点だと思うんです。歌詞にしても、不良が憧れるような内容が少なくなっている。それに比べるとクラブ・ミュージックはドラッグや汚い言葉を連呼してたり、スピーカーぶっ壊しそうな低音とか、音でも不良感を出している。いま、アメリカで不良が聴く音楽はヒップホップだと思うし、ヨーロッパだと、ディープ・ハウスやテクノとかのクラブ・ミュージックだと思うんです。そういう、メインストリームとはちょっと違ったものを好む人たちが音楽に興味を持つきっかけのひとつとしてクラブ・ミュージックが機能しているのはとても重要だと思うし、その魅力をちゃんと表現していくのは大事なことだと思う」(Ali&)。

現在は自主で活動をしているものの、メジャーから声がかかっているという噂もちらほら。となると、今後は本作のようにクラブ・コンシャスなトラック以外のサウンドにも期待が高まることだろう。2人にこれからの活動について訊いた。

「自主で活動することで制約がなくなったわけで、気を遣う部分が減るというか、いろんなしがらみから開放されて伸び伸びやれた部分はありましたね。それが今年1年の活動でした」(JUN)。

「このまま自分たちのスタンスを貫いていきたい。『80:XX - 01020304』みたいな内容でもOKっていうレーベルとだったらいっしょにやってみたいですね。80KIDZの活動には〈ひねくれたことをやりたい〉っていうのが元にあったんですけど、そのひねくれ部分が最近ちょっと減ったように感じてたんです。だから、その感覚を取り戻していきたいですね」(Ali&)。

「そういうアンダーグラウンドというか、インディー的な感覚と、いままでロックを聴いてきた人が聴けるようなクラブ・サウンドこそが80KIDZの音楽の魅力ですからね」(JUN)。

「そう。〈ロックを聴いてきた人が……〉っていうラインは、今回のアルバムではかなりギリギリかもしれないけど(笑)」(Ali&)。



▼関連盤を紹介。
左から、トドラTの2011年作『Watch Me Dance』(Ninja Tune)、ディスクロージャーの2013年作『Settle』(PMR/Island)、ボーイズ・ノイズの2012年作『Out of the Black』(Boysnoize)

 

▼80KIDZの作品。
左から、2008年のミニ・アルバム『Life Begins At Eighty』、2009年作『THIS IS MY SHIT』、2010年のEP『SPOILED BOY』、2010年作『WEEKEND WARRIOR』(すべてKidz Rec./KSR)

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