インタビュー

CHICANO BATMAN



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異なるものを実験的に融合させる確信犯的なアイデアが共感を広げる!

なんだこりゃ。チカーノ・バットマンと名乗る4人組バンドの音を聞くと、そう思わずにいられないのではないか。そこには中南米の音楽要素とソウルやロックとの不思議な綱引きがあり、一方ではなんとも人を喰った独立独歩の気持ちが溢れる。一言で言えば、“こんなバンド、聞いたことがない”、なのである。

「このバンド名、なんかパッと見キャッチーじゃない? 映画って、どの国もアメリカ映画の影響を通ったものになっているよね。で、“バットマン”というのは作り手から個性を奪ってしまう米国文化の比喩。俺たちは、個性を取り返したいという気持ちを持っている」(ヴォーカル、キーボード、ギターのバルド)

当然、メンバーは皆、中南米スペイン語圏の血を引く。 「親はメキシコから来て、俺はイーストLAで生まれ、高校、大学と出ている。それで、ブラジルとかパナマとか、いろいろ行ったけど、そういう経験がぼくの音楽性に転化されている」(ベースのエドゥアルド)

「俺は米国生まれの3人と違いコロンビア生まれで、高校を出てから渡米した。様々な音楽の勉強をし、パリに住んだこともある」(ドラムのガブリエル)

また、バルドはコロンビアとメキシコの血を受け、ギタリストのカルロスは父親がエルサルバドル人で母親がメキシコ系アメリカ人である。そうしたメンバーの属性は必然なのだろうか。

「LAはいろんな人種にあふれている。やはり、俺たちは出会うべくして会ったということは言えると思う」(カルロス)

「ラテン音楽の中にあるR&B的要素を抽出したことをやりたかった。エドゥアルドはメキシカン・クンビアの要素は入れたいと言ったけど、それは幅広い世代に訴求することに繋がると思った」(バルド)

「皆ブラジル音楽が好きで、その要素も入れたかったな。たとえば、ジョルジ・ベンとかカエターノ・ヴェローゾのサイケデリアの要素。それらをジャムっぽく混ぜてみたかった」(エドゥアルド)

結成は、2008年。フル・アルバムとしては、新作『サイクルズ・オブ〜』は2作目となる。

「第1作を出したのはバンドを結成して、すぐだった。その後の、蓄積していたものをまとめ上げたわけだけど、いい感じになったと思っている。メンバー間の良い関係性と各々の個性がちゃんと出るとともに、総じてソウルにあふれるものになったしね。実は音色にもかなりこだわっているし、実験性に富んだ内容になったとも自負しているよ」(バルド)





カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月26日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:佐藤英輔