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インタビュー

Petteri Sariola



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振り幅の広い選曲で楽しませる、ノンジャンルなカヴァー・アルバム

スラップの進化系とも捉えられる独自のパーカッシヴな演奏スタイル “スラム奏法” で知られるフィンランドの天才ギタリスト、ペッテリ・サリオラが3作目となるソロ・アルバムを発表した。約3年振りとなる本作は、マイケル・ヘッジスから強い影響を受けたといわれるアコースティック・ギターだけでなく彼自身によるエレクトリック・ギターやヴォーカルもフィーチャーされた全曲カバー・アルバム。あの押尾コータロー氏をして“圧巻のアコギ”と言わしめた超絶テクニックが、幾多の名曲に新しい生命を吹き込んだ。

「アコースティック・ギタリストというのは僕の一面で、ここしばらくは自分のスタジオを作ったり、他人のプロジェクトでギターを弾いたり、いろいろ他の活動をしていました。前作の後、ツアーばかり続いて燃え尽きたのもあって…(笑)。それが久々に日本へ来てみたら、前2作に対する僕のファンがたくさんいることに驚きました。その時、あらためて自分のやるべきことを再確認したという次第です。キングレコードからも新作を求められたんですが、オリジナル曲だとスケジュール的に難しかったのと、しばらくソロ・ギターというスタイルはお休みしていたこともあり、今回は方向性を変えてみようと思ったんです」

本作には彼が交流を持つ2人の日本人ギタリスト、押尾コータローの《翼〜you are the HERO〜》、そしてチャーの《スモーキー》が収録されていることも大きな話題となっている。

「面識のある人の曲をカヴァーするのは、たしかに少し妙な感じがしますね。《スモーキー》は曲から湧いてくるエネルギーやヴァイブに着目したうえで、そこへチャーさんの人柄や姿を投影して弾いたつもりです。押尾さんのCDは彼と知り合うずっと前にフィンランドのCDショップで偶然みつけて聴いていたんですよ。《ボレロ》を採り上げるにあたっても、あらゆるジャンルの演奏について詳細な調査を行ないました。その結果、押尾バージョンの凄さを思い知り、全く違うアプローチで立ち向かうことにしました(笑)」

彼は今回、ロック・トリオ “デッド・シリウス3000” としてのアルバム『シリウス奪還』も日本で同時リリースしている。日本ではエレキを弾くと驚かれるが、地元フィンランドではアコギを弾くと逆にビックリされるそうだ。

「Play it loud!(笑) 僕のアコースティック・ギターの奏法はロックンロール的なエネルギーを持ったスタイルだと思います。このアルバムのベーシックな部分はアコースティック・ギターですが、大音量で聴いて遠慮せずに踊ってください」



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2014年01月13日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:近藤正義