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インタビュー

livetune feat. 初音ミク 『DECORATOR EP』



初音ミクとGalileo Galileiの尾崎雄貴をヴォーカリストに迎えた2作品が到着! ボーカロイドと生身のシンガー、それぞれの特性を活かした歌世界とは?



livetuneがゲームソフト「初音ミク -Project DIVA- F 2nd」のオープニング・テーマを収録したミニ・アルバム『DECORATOR EP』と、TVアニメ「ハマトラ」のオープニング・テーマにして、Galileo Galileiの尾崎雄貴をヴォーカリストに迎えた〈adding〉シリーズの最新シングル“FLAT”の2作品を同時リリースする。それぞれの作品について、livetuneのkzに話を訊いた。

※livetune adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei)のインタヴューはこちらから



livetune feat. 初音ミク



livetune feat. 初音ミク





では、まず『DECORATOR EP』のほうから。昨年3月にフル作『Re:Dial』を発表した際には〈ボーカロイドのソフトを触ったのは久々だった〉という話をしていたkz。今回は、果たしてどうだったのだろうか。

「はい、毎回久々ですね(笑)。なにせ(ボカロ作品の)リリースが年に1回ですから。“DECORATOR”と“Connection”は(2013年の)夏くらいに出来ていて、音源のストックがあったのでEPを作ろうかということになって、それに合わせて新曲を作りました。“Connection”は英語版のボーカロイドを使ってます。英語版が出たので使ってみようかと。ゼッドのリミックスでも使ったんですけど、あの時はベータ版だったんですよね。今回もネイティヴな発音でやりたいから、海外のクリエイターに打ち込んでもらってます。この曲は、夏にベルギーの音楽フェス〈Tomorrowland〉に行ったりとかで、EDMっぽいものを作りたかったんです。そういうベタベタなものがあってもいいかなと思って、ざっくりと作った曲ですね(笑)」。

“Pink or Black”も英語詞だが、こちらは日本語版のボーカロイドで打ち込んだのだという。

「村上隆さんが監督する〈シュウ ウエムラ〉のコラボ・アニメの音楽っていう企画の段階で、〈可愛さ〉がテーマとしてあって。でも、英語版のボーカロイドで可愛さを表現するのが僕にとっては難しかったんです。(発音の)拙さみたいなのがなくなってしまって。可愛い女の子の英語の発音がものすごく上手いと、なんか可愛くなくなるじゃないですか(笑)。例えばきゃりー(ぱみゅぱみゅ)がものすごく英語が上手かったら、きっと違う歌になりますよね。だからこそ日本語版を使いたかった。村上さんも〈日本語英語〉というか、〈片言みたいな英語っていいよね〉って話をしていたのもあったし。ただ、ある程度はネイティヴに近付けてグルーヴを出したかったので、打ち込みにとても苦労しました(笑)」。

また、EPのなかでもストレートなバラード“Andante”は、livetuneとしては珍しいタイプの楽曲に仕上がっている。

「8分の6拍子の曲が好きなんですけど、作ったことがなかったのでやってみようかと。ベン・フォールズ・ファイヴっぽい、ピアノがメインでベースが歪んでるのがいいなと思って作りはじめたんですけど、やっているうちに全然違う曲になりました。リリースされるのが3月だから卒業をテーマにしようと思って作ったら、〈新世紀エヴァンゲリオン〉の最後みたいな終末感が出ましたね。〈みんな死んだ〉みたいな(笑)。歌詞的にはポジティヴなんですけど、曲調が壮大で、これは作ってて楽しかったですね。“Andante”はベタなバラードだし、“Connection”はベタなEDM。“Long Way From Here”はベタな4つ打ちですよね。今回、王道というよりはベタと言えるものを作りたかった。最近はいろいろな変化を加えようとしていて、ものすごくベタなものは作ってないなと思ったので、新曲はそこが共通する点かなと思います」。

タイトル曲“DECORATOR”は、ボーカロイド・シーンのオリジネイターとしての矜持を感じさせると同時に、これからの世代を勇気付ける優しいメッセージ・ソングとなっている。

「そろそろ新しい世代がやっていいのかなと思っていて。後に譲るというか、他の人もやろうよっていう意味合いを込めた曲でもあります。僕は(ボカロ作品を)メインに活動しているほうではないですし、こういう時だけ出てくるのは忍びないので……部活でたまに顔を出すOBみたいなのがイヤなんですよ(笑)。次の部長がいるんだから、その部長に従ってやってくれみたいな。もう7年近くやってきましたからね。現時点では〈adding〉シリーズを進めたいっていう思いがあるので、そこに注力していきたいなと。もちろん、今後もボーカロイドは機会があれば関わりたいし、定期的にリリースはあると思います」。



▼livetune feat. 初音ミクの2013年作『Re:Dial』(トイズファクトリー)

 

▼livetuneの近年の外部提供作品。
左から、May'nの2014年のシングル“今日に恋色”(flying DOG)、ClariSの2014年のシングル“CLICK”(ソニー)、Yun*chiの2014年作『Asterisk*』(クラウン)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年03月05日 18:01

更新: 2014年03月05日 18:01

ソース: bounce 364号(2014年2月25日発行)

インタヴュー・文/南波一海