インタビュー

絢香 "にじいろ"

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 吉高由里子主演のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の主題歌としてもオンエアされている絢香の"にじいろ"。優しくてあたたかい気持ちに包まれ、思わず口ずさみたくなるあの話題曲が、いよいよシングルとしてリリースされる。カップリングは、彼女の表現力の高さに息を飲む"幻想曲"。今、聴くべき2曲がここに完成した。



悲しみや辛さなど、何かを乗り越えた時に見える景色がある



―新曲"にじいろ"はドラマ「花子とアン」の主題歌として書き下ろされたそうですが、最初にお話を聞かれたときはいかがでした?

「NHK連続テレビ小説ってすごい歴史がありますから、そこで自分の曲が流れるなんて本当に嬉しかったです。それこそおばあちゃんとかも毎回楽しみに見ているような時間帯のドラマですからね。いろんな世代の方に聴いてもらえるんだなって思うと、あらためて嬉しいことだなって思いました。ドラマのスタッフの皆さん達とお会いし、熱い想いを注いでこのドラマを作られているんだと感じました。花子が歩いていく道をそっと応援出来るような、このドラマに寄り添えるようなあったかい曲になったらいいなと思いながら書いていきました」

―思わず口ずさみたくなるような、あたたかいメロディが印象的ですね。

「やっぱり半年間、毎朝流れるものですからね。出かける準備をしながら、家事をしながら、サラッと聴けるんだけど気付いたら一緒に歌ってたみたいな曲になるといいなと思ったんです。1本の映画を観終わった後に流れる曲として最高なものと、毎日見る人がたくさんいる朝ドラの主題歌としていいなと思ってもらえるものはやっぱり違うと思うんです。そのためにも、今回は曲自体をコンパクトにしました。長さは3分台で、2部構成に大サビがあるっていうシンプルな作りになっています」

―歌詞はどんな風に書き上げていったんですか?

「実はこの曲を書いている最中に、たまたまですけどすごく落ち込む悲しいことがあったんです。あまりにも悲しいことや辛いことが起きた時って、すべての色が無くなるような、何も感じなくなるような状態になってしまうけど、時間が経つと、それも自分にとって意味があることだったんだろうなって思える瞬間がくる。そして、そうやって腑に落ちるというか、ひとつ乗り越えられたなと思えた時にこそ見える景色があるんだと思ったんです。花子もそうですよね。いろんな困難を乗り越えているからこその強さや輝きを持って生きてる。何かを乗り越えた先に見える景色、それを"にじいろ"という言葉で表現したんです」

―たしかに、あの美しい虹も雨が降ったからこそ見えるものですしね。

「言葉では表せないような深みを持ってる人や、なぜかわからないけどすごく惹かれてしまうような人って、きっとそういうことを何度も乗り越えてきたからなんだろうなと思うんです。ひとつひとつのことがその人になり、ひとつひとつのことが自分になっていく。無駄なことなんてない、あらためてそう実感したんですよね。そう考えると、長く続く道がすごくワクワクするものになって、どんどん変わっていく景色の中でポジティブに生きる花子の姿が浮かび上がってきたんです。この曲が書けたことは、自分にとっても大きな意味があったなと思いましたね」



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―そしてもう1曲の"幻想曲"ですが、とても存在感のあるバラードですね。

「メロディ自体は活動をお休みしている間に書いてたんですが、歌詞は全く別の、割と前向きなものだったんです。でも聴き直してみると何か違う。これは今の自分が歌う歌詞じゃないなと思い、全部書き直したんですよ。こんなことは滅多にないんですけどね」

―聴き終わった後に残るものはとても大きなものですが、歌詞としては、胸の内をつぶやくような視点になっていますね。

「現実のことじゃないんだけどふと考えることがある、という場面を切り取った曲です。心の中でずっと生き続ける永遠っていうのはあると思うけど、やっぱり実際目の前にあって、触れられる瞬間というものに永遠はなくて。たとえばおじいちゃんとかおばあちゃんとか、会う度にどこかで<あと何回会えるかな?>って思ってしまうんですね。もちろん常にそればかり考えているわけじゃないけど、人も物も景色も永遠ではないんだってふとした時によぎることがある。そういう瞬間を切り取ることで、より<今>が大事に思えるんじゃないかなって、そういう思いから書いた曲なんです」

―打ち込みのリズムが淡々と刻まれる中で、弦の音が壮大に響いてくる。このアレンジもすごく新鮮でした。

「夢の中のような感じにしたくて、まずふわーっと広がっていくシンセの感じと、人の手ではなく、機械的なリズムが鳴っているイメージがあったんです。ボーカルのリバーブ感もそうですね。デモの段階で明確にあったイメージを、アレンジャーの河野圭さんが形にして下さいました。こんな風に曲がフワッと出てきてすんなり書けることはあまりないんですが、それだけ今、書きたかったし歌いたかったことが形に出来た気がしています。自分的にも、すごく気に入っている1曲です」



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■Single…"にじいろ"……6/18 on sale!!

Song list
01. にじいろ
02. 幻想曲
03. にじいろ(Instrumental)
04. 幻想曲(Instrumental)

【DVD】

01. にじいろ(Music Video)
02. にじいろ(Making Video)

■Live…絢香 にじいろAcoustic Live Tour 2014 ~3-STAR RAW~


8/22(金)埼玉・三郷市文化会館
8/30(土)鹿児島・鹿児島宝山ホール
8/31(日)宮崎・宮崎市民ホール 
9/5(金)静岡・静岡市民文化会館
9/10(水),11(木)東京・東京NHKホール
9/15(祝・月)愛媛・松山市民会館
9/16(火)香川・アルファあなぶきホール
9/20(土),21(日)兵庫・神戸国際会館
9/27(土)群馬・ベイシア文化ホール
9/28(日)山梨・コラニー文化ホール
10/10(金)宮城・仙台サンプラザホール
10/13(祝・月)広島・広島上野学園ホール
10/14(火)岡山・倉敷市民会館
10/18(土),19(日)福岡・福岡サンパレス
10/26(日)神奈川・相模女子大学グリーンホール
10/30(木)北海道・帯広市民文化ホール 大ホール
11/1(土)北海道・札幌ニトリ文化ホール
11/6(木),7(金)大阪・大阪フェスティバルホール
11/11(火),12(水)愛知・愛知県芸術劇場大ホール
11/16(日)新潟・新潟県民会館
11/28(金)岩手・盛岡市民文化ホール

※詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。

■Profile…絢香(あやか)

1987年大阪生まれの女性シンガーソングライター。高校時代に地元でライブ活動をスタート。着実に人気を集め、2005年夏には都内のライブハウスにも進出。その圧倒的なパフォーマンスが話題になり、口コミで人気を集めることに。これがきっかけとなり2006年にシングル「I believe」でメジャーデビュー。いきなり大ヒットを記録する。同年秋に発表された1stアルバム『First Message』は新人にもかかわらず初登場1位を獲得し、100万枚以上ものセールスを記録。現在も様々な活動を積極的に行っている。



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記事内容:TOWER+ 2014/6/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2014年06月10日 00:00

ソース: 2014/6/10

TEXT:山田邦子