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Elvis Costello(エルヴィス・コステロ)、8年ぶりの来日公演初日レポート&写真到着

Elvis Costello
Photo by Yuki Kuroyanagi

4月8日から8年ぶりの来日公演がスタートしたElvis Costello。すみだトリフォニーホールで行われた盟友 Steve Nieveとのツアーの初日公演のオフィシャル・ライヴ・レポートとライヴ写真が到着した。

 

定刻を3分ほど過ぎたところでElvis Costello、Steve Nieveが登場、「久しぶりだね、特別なショーにするよ」と挨拶したCostelloがさっそく1曲目の“When I Was Cruel No. 2”をプレイし始め、すみだトリフォニーホールを埋め尽くした観客の心を解きほぐしていく。

ヘヴィに響き渡るリズム・マシン、エレキ・ギターを手にしたCostelloがステージや右手側、左手にはグランド・ピアノとエレクトリック・キーボード、曲により鍵盤ハーモニカを操るSteve Nieveが位置して座る。02年のアルバム『When I Was Cruel』のタイトル・トラックだが、オリジナル以上にヘヴィなサウンドにアレンジされ、ズシンと迫ってくるし、Nieveは早速鍵盤ハーモニカを手に客席に降りてくる。

もう45年ほどありとあらゆるステージやレコーディングを共にしてきたふたりだけに、何があっても、すべて対処できる自信がステージ上から溢れ出すし、伝説の78年初来日に始まり20回以上、来日しているCostelloだけに日本にいかに熱心なファンがいるかもよくわかっているので余裕綽々だ。

続いて『Trust』(1981年)からの“Watch Your Step”、『King Of America』(1986年)からの“Jack Of All Parades”といった比較的地味な曲や未発表の“Like Licorice On Your Tongue”が続き反応も大人しめだったが、初期の大ヒット・アルバム『Armed Forces』(1979年)からのお馴染み“Accidents Will Happen”で大きな拍手が湧く。もともとは畳み込んでいくようなテンポのいい曲ながら、ここでは大胆なアレンジが施され、しかもピアノだけをバックに歌いこまれる。と書くといかにも重そうだが、そうじゃなく曲に新しい滋味を加えていくといった趣で、それがスリリングに響いてくるのだ。さすがCostello!

そしてここからが前半のハイライトで『Trust』からの“Clubland”がプレイされ、それがTHE SPECIALSのNo.1ヒット“Ghost Town”へと繋がる流れにびっくり。登場してきたTHE SPECIALSを気に入り1stアルバムをプロデュース、ツートーン・ブームを盛り上げたあの時代を振り返るようにキーボードがリーダー、Jerry Dammersのフレーズを奏でる。と感傷に浸ってるとそれが、日本ではTHE ANIMALSで知られる“Don't Let Me Be Misunderstood”へ繋がる。『King Of America』に入っているが、あまりステージにかけられることがないので日本での人気を知ってのピックアップだろう。ここらが嬉しい。

そしてMCで日本と言えばと、Allen Toussaintと来たときの思い出を語り、彼と作った名盤『The River In Reverse』(2006年)からの“Ascension Day”をアコースティック・ギター1本で披露(これもあまり取り上げられることのないレア曲)、同じくギターだけで人気の“Beyond Belief”をプレイし、さらに『Hey Clockface』(2020年)からのタイトル曲や『Brutal Youth』(1994年)からの“Still Too Soon To Know”などの珍しい曲が並び熱心なファンを喜ばせる。

驚かされたのは次の“Red Shoes”。初期Costelloの代表曲のひとつだが、最近ではあまり取り上げていなかったこの曲を大幅にアレンジしテンポも変えて歌い込み、散々聴き慣れた曲がとても新鮮に響いてくる。やや重くなった空気を切り裂くようにデジタル・ビートとラップが絡む“Hetty O'Hara Confidential”(『Hey Clockface』)で、あっけに取られていると、次曲はもっとびっくり。なんと“Almost Blue”だ。昨年以前は20年近くやられていない曲で、名作『Imperial Bedroom』(1982年)からの曲だが、その前作アルバム『Almost Blue』(1981年)が、ナッシュヴィルでカントリー・ナンバーをカバーし当時かなり批判されたのを思い出す。

ここらから中盤(もう後半か)の私的ハイライトで、これまた珍しい『North』(2003年)の“Still”がじっくりと歌い込まれ、次の最初期のナンバー“Watching The Detectives”へと続く。会場全体がかなり暗いブルーのトーンが包み込み、ドラマチックな空間を鍵盤ハーモニカとエレキ・ギター、リズム・マシン、事前に入れておいた音とエフェクト処理なのかわからないがダブル・ヴォーカルにも聴こえる歌、それと対話するかの自由度の高いギターが響き渡る。もう本当に何千回も歌い、プレイしてきている曲だろうにこうして大胆にアレンジし、曲を生き生きとしたものする彼のアーティスト魂には、本当に熱くさせられた。

その興奮が冷める間もなくBurt Bacharachとの共作盤『Painted From Memory』(1998年)からの難曲“I Still Have That Other Girl”が歌われる。正~直なこと言えば“God Give Me Strength”が聴きたかったが、Nieveの素晴らしいピアノもたっぷりと味わえるこれでも大満足。そんな会場へのプレゼントのように続いて“She”がプレイされる。

日本ではCostelloと言えばコレというほど人気の高い曲は映画『ノッティングヒルの恋人』の主題歌として使われたCharles Aznavourの名曲。ここでは、ロンドンの名門 Royal College of Music(王立音楽大学)に通った才人 Nieveのみごとなピアノをバックに、50年代風のヴォーカル・マイクで往年のポピュラー・シンガーのように歌い上げ感動が会場を包み込む。大拍手に送られステージ袖に引っ込むが、一瞬で再登場。アンコールに応えたということか(笑)。

平和への祈りを込め『Kojak Variety』(1995年)で取り上げていたMose Allisonの“Everybody Cryin' Mercy”を渋くきめ、次が観客全員が大好きなNick Loweナンバー“(What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding”が始まり、この日の充実したステージを観客が称えるように手拍子が広がっていくが、それに応えてなんと2ndヴァースはNieveがヴォーカルを取って喜ばせてくれる。これ以上はないピースフルな空気のなか最後の必殺“Alison”が歌われ、全ファンが本当に来て良かったと幸福感に酔いしれた。

こんなアーティストと同時代を歩む満足感は本当に特別なものだ。すぐにでもTHE IMPOSTERSとの来日を実現してほしい。

文:大鷹俊一

Elvis Costello

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Steve Nieve

Elvis Costello

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Elvis Costello
Photo by Yuki Kuroyanagi

 

▼リリース情報
Elvis Costello
来日記念盤
『Elvis Costello & The Imposters / The Boy Named If (Alive at Memphis Magnetic)』
NOW ON SALE


 

▼ツアー情報
「ELVIS COSTELLO & STEVE NIEVE来日公演2024」
4月11日(木)大阪 ザ・シンフォニーホール
4月12日(金)東京 浅草公会堂 ※追加公演


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カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース | タグ : 来日

掲載: 2024年04月11日 11:20

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