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村上春樹、6年ぶりの長編「街とその不確かな壁」文庫化にあたりメッセージ到着

村上春樹の最新長編「街とその不確かな壁」が文庫化された。

村上春樹は、1980年に中編小説「街と、その不確かな壁」、さらに1985年にはその主題を発展させた壮大な長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(谷崎潤一郎賞受賞)を発表。幻想世界と冒険活劇の2つのストーリーが展開するこの長編に描かれたのが、「世界の終り」の「街」だった。人々が影を持たない「謎めいた街」……。この小説は世界中の読者を魅了し、今も多くのファンが愛読している。本作「街とその不確かな壁」は、40年の歳月を経て、村上春樹がその文学的原点である「街」に立ち戻り、新たな物語を構想し、完成させた渾身の小説となっている。

文庫化にあたって、村上春樹から新たにメッセージが届いた。

 

小説を書くという作業は僕にとって、自分自身を洗い直すための大事なプロセスでもあります。高い壁に囲まれた街の中で、自分の影と切り離され、古い夢を読み続けること。その主人公は僕であり、またあなたであるかもしれません。

―― 2025年4月 村上春樹

 

カバー装画は、幻想と現実を往還する「街とその不確かな壁」の物語への入口として、上巻/下巻それぞれにインドの絵本「The Night Life of Trees」(邦題:夜の木)の絵が使われている。この絵本は、中央インド出身のゴンド民族のアーティスト3人によって描かれた木を巡る神話的な世界。上巻のカバー絵は「まもってくれる木」、下巻は「ドゥーマルの木」という題名が付いている。

さらに、単行本のために制作されたタダジュンの版画(角笛や本の意匠)も、カバーと章扉に使われ、村上ワールドへと誘う。村上作品は日本でも海外でも物語への想像力を呼び起こす装画が魅力だが、今回の「夜の木」も見事に響き合っている。



 

▼書籍情報

村上春樹
「街とその不確かな壁」


カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース

掲載: 2025年04月25日 13:10