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第9回 ─ ソーラーが照射した新しい時代

第9回 ─ ソーラーが照射した新しい時代(3)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2005/10/20   14:00
更新
2005/10/20   18:24
ソース
『bounce』 269号(2005/9/25)
テキスト
文/JAM、出嶌孝次、林 剛

LAKESIDE 『Fantastic Voyage』 Solar/BMGファンハウス(1980)

  元はオハイオをベースに活動していたファンク・バンドだが、ディック・グリフィーが彼らのマネージメントを行っていたという縁もあってソーラーに迎えられている。通算4作目、ソーラーでの3作目となる本作は彼らの図抜けた実力が炸裂した濃厚な一枚で、表題曲などのファンクは言うに及ばず、3曲揃ったバラードもすべて文句なし。まさしく稀に見るモンスター・アルバムだ。(JAM)

MIDNIGHT STAR 『No Parking On The Dance Floor』 Solar/BMGファンハウス(1983)

  80年代ファンクを牽引した大所帯バンドの代表作。キモはもちろん時代の空気を反映した電化ファンクの名曲群で、バーケイズも剽窃した表題曲や“Wet My Whistle”のアーバンなフロア感覚が妙に新鮮だ。特に、ヒットした“Freak-A-Zoid”は某“Planet Rock”とかと同等に評価されるべき圧巻のロボ・エレクトロ! 一方ではベイビーフェイス初の外部提供曲である“Slow Jam”の収録作、でもある。(出嶌)

SHALAMAR 『Three For Love』 Solar/Sanctuary(1981)

  シャラマー黄金期の一作。リオン・シルヴァーズの制作で、“Make That Move”などハワード・ヒューイットとジョディ・ワトリーが掛け合うスタイリッシュなダンサーを収めるが、ディスコ・ユニット云々という以前に、スロウなどにおけるソウルフルな歌の表現力に注目したい。96年にベイビーフェイスがメンバー3人を集めて焼き直した“This Is For The Lover In You”の素晴らしい原曲もここに。(林)

THE SOUL TRAIN GANG 『Soul Train '75 : The Best Of The Soul Train Gang』  Castle

  TV番組「Soul Train」のダンサーズから〈歌える〉5人が抜擢されたスタジオ・グループ。これはソーラーの前身=ソウル・トレインを原盤とする75~77年の楽曲集で、MFSB“TSOP”に代わる番組テーマ曲も収録。“Ooh Cha”のような楽天的なダンス・チューンなど、収録曲の多くはMFSBの演奏によるシグマ録音。後にシャラマーに一時参加するジェラルド・ブラウンもメンバーだった。(林)

THE SYLVERS 『Concept』 Solar/Unidisc(1981)


  70年代に“Boogie Fever”のヒットを飛ばしたメンフィスのファミリー・グループがソーラーに残した唯一のアルバム。本作からのヒットはないが、一連のソーラー作品で気を吐いていたリオン・シルヴァーズ(彼はグループから離脱)が一家の面々とバックアップしたとあって、ダンス曲もバラードも申し分ナシ。シャラマー的な疾走感が最高な“I'm Getting' Over”など再評価される要素も目白押しだ。(林)

THE WHISPERS 『The Whispers』 Solar/BMGファンハウス(1979)

  前身のソウル・トレイン時代を経てソーラーの看板グループとなったウィスパーズ。リオン・シルヴァーズがバックアップした本作は、ディスコ曲“And The Beat Goes On”の収録でも有名だが、ダニー・ハサウェイのクリスマス曲を改作した“A Song For Donny”や、“Lady”といった温もりのあるコーラス・ワークが堪能できるスロウが際立って良い。必殺バラード“I Love You”を前に、もう言葉ナシ。(林)

THE WHISPERS 『Just Gets Better With Time』 Solar/Sanctuary(1987)


  西海岸を代表するヴェテラン・グループでありながら、彼らが常に若々しいイメージを保てたのはレーベル・マジックに負う部分も大きかった。プロデュースを手掛けるLA・リード&ベイビーフェイスの出世作にもなった“Rock Steady”のNo. 1ヒットを含む本作は、そんな彼らのソーラー時代を総括したような内容で、80年代に息づくヴォーカル・グループの理想的な作品集となっている。(JAM)

DEEP COVER 『Soundtrack』 Solar/Epic(1992)

  オマケ。スヌープ・ドッグの初舞台となったドクター・ドレー“Deep Cover”で知られるこのサントラもソーラー製だった。というのも初期デス・ロウ利権にディック・グリフィーが一枚噛んでいたから。ジュウェル、コケイン、PBL……とシーンの主役交替を無情にも示す内容に。キャロウェイはエレクトロの“The Way(Is In The House)”とインスト曲を、ディールはクールなデジタル・ファンク“Digits”を提供している。(出嶌)