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第9回 ─ ソーラーが照射した新しい時代

私たちの母校はソーラーです!!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2005/10/20   14:00
更新
2005/10/20   18:24
ソース
『bounce』 269号(2005/9/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

 ソーラー卒業生の躍進を語るうえでまず欠かせないのはシャラマーの面々。なかでも華々しい成功を収めたのは84年に脱退したジョディ・ワトリーだ。87年のソロ・デビュー曲“Looking For A New Love”とアルバム『Jody Watley』がそれぞれチャートを制覇し、グラミーの新人賞も獲得するなど最高のスタートを切った彼女は、以降10年に渡って最前線で活躍。その後は自身のレーベル=アヴィトーンを設立し、徐々にハウスのフィールドへと足場を移していく。一方、85年まで在籍したハワード・ヒューイットは翌86年にソロ・デビューし、90年に“Show Me”をヒットさせた。現在はゴスペル畑でも活躍中だ。黄金トリオのもう1人=ジェフリー・ダニエルズもソロ・デビューしている。

 一方、その形態を維持したままメジャーに留まって活動したのがウィスパーズ。キャピトルを新天地に選んだ彼らは、90年代後半までシーンのド真ん中に踏み止まり続けていた。97年にはベイビーフェイス・ソングブック的なカヴァー・アルバムも残しており、これはソーラーでの絡みを知る者には粋な計らいじゃないだろうか。で、そのベイビーフェイスの粋な計らいといえば……彼がシンガーとして最大の成功を収めた『The Day』からの先行シングル“This Is For The Lover In You”はシャラマーの小ヒットをカヴァーしたものだが、そこに先述したジョディ、ハワード、ジェフリーの3人をフィーチャーしたのだ(再結成も噂されるが、これは実現せず)。もはや母校が気にされないフェイスだが、この愛校精神には胸を熱くした人も多かったはず。とはいえ、もっとも〈出世〉したのは現アイランド・デフ・ジャムのチェアマンであるLA・リードなのだろうが……。


ハワード・ヒューイットの2005年作『Intimate』(Shout! Factory)