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第3回 ─ 曽我部恵一×橋本徹対談〈後編〉 『ジョビニアーナ』制作秘話

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2007/11/29   16:00
更新
2007/12/17   17:22
テキスト
文/bounce.com編集部

ご存知〈キング・オブ・メロウロック〉こと曽我部恵一のマンスリー連載! ご自身のお店〈City Country City〉でも素敵な〈手描きPOP〉を作っている曽我部氏が、タワーレコードのPOPを担当。独自のテーマでCD/DVD/書籍をチョイスし、その作品のPOP作りに挑みます。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開……というWEB&店舗の連動企画! さて今回は、サバービア主宰/アプレミディ代表にして音楽紹介のオーソリティ、橋本徹さんをお迎えしての特別対談〈後編〉。橋本プロデュース&曽我部参加の話題コンピ『ジョビニアーナ~愛と微笑みと花』の裏話を中心にお届けします。お待ちかねの曽我部セレクション&手描きPOPも公開!!

→→→曽我部恵一×橋本徹対談〈前編〉はこちら!!

――今回、橋本さんのプロデュースによるアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート・アルバム『ジョビニアーナ~愛と微笑みと花』がリリースされました。このアルバムに曽我部さんが参加された経緯は?

橋本 まず、この企画のきっかけとして、大好きな“Two Kites”のカヴァーをorange pekoeにお願いしたいと思ったんだけど、すぐ次に浮かんだのが曽我部君とINO(hidefumi)君だった。ジョビンは色んな解釈ができる作曲家だと思うんだけど、どうしてもボサノヴァ的な解釈一辺倒でカヴァーされることが多い。その中で、ロックやシンガーソングライター的な音楽を大切にしている曽我部君と、クラブ・ミュージックを背景にいいトラックを作っているINO君に参加してもらえれば、すごく広がりが出ると思ったわけです。

――曽我部さんは有名な“The Girl From Ipanema”をカヴァーされてます。

橋本 選曲はぼくがしたけど、どういうかたちでカヴァーするかは完全にお任せ。曽我部君の声であの歌詞なら、絶対にいいものになるでしょって。

曽我部 橋本さんが「ライヴのアンコールでちょこっとアコギでやるような感じ」って言ってたから、それだけ念頭にありましたね。

――あれは弾き語りの一発録りですか?

曽我部 もちろん。事務所で明け方に録りました。エンジニアさんもいなくてマイクも自分で立てて、すべて一人で。だからよく聴くと、前を通る車の音とかが入ってる。そういう空気感にしたかったんですよ。で、それを演出するのって不可能だから、チャンスが来るのを待ってましたね。

橋本 一期一会。あとはその瞬間を録ればいいだけだからね。

曽我部 後半に口笛が入ってくるのも事前に決めてたわけじゃなくて。なんとなく口笛を吹いただけなんです。

橋本 あの曽我部君の曲が最初にあることによって、このアルバムは本当に特別なものになったと思う。

曽我部 どれだけ自然に、身の丈でやるかっていうのが重要で。だから鼻唄くらいの感じでできるようになるまでに時間がかかったんですよ。やっぱりすごい有名な曲だから、単にボサノヴァっぽい感じにはしたくなかった。

橋本 まさに今回のポイントはそこだったんだよね。誰もが知ってる曲だから、普通に心地よいテンポのボサノヴァにすると、絶対イージー・リスニングみたいになっちゃう。だけど、あれだけテンポを落として、息づかいのような感じで自分の声にスポットを当ててくれたことで、あの曲が耳にとまるようになった。ハッとさせるって意味でも1曲目にふさわしかったなと思っていて。