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第35回 ─ 敬老のソウル・ジャイアンツ

第35回 ─ 敬老のソウル・ジャイアンツ(3)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/10/23   21:00
ソース
『bounce』 303号(2008/9/25)
テキスト
文/林 剛

ESSENTIALS 素通りできない逸品たち その2

LEON WARE 『Moon Ride』 Stax/Concord(2008)
とにかく期待を裏切らない人だ。新生スタックスと契約して久々のメジャー復帰作となった本作でも、セクシャルでセンシュアルなリオン・ウェア世界は相変わらず。共作/演奏で名を連ねたデヴィッドT・ウォーカーやアンプ・フィドラーらもリオンのメロウ・ワールドに吸い込まれていくかのようで、改めてその唯一無二な個性を思い知らされる。68歳の御大は、枯れるどころか、まだ濡れ濡れだ。

REVEREND EDDIE HOLMAN 『Love Story』 Agape Universal(2008)
“Hey There Lonely Girl”(69年)のヒットで出世したフィリー屈指のファルセッターは、現在聖職に就いている。よって自主レーベルからリリースしたこの最新作もゴスペル盤となる。気持ち良いほど裏返るファルセット・ヴォイスは62歳にしてなお健在で、70年代の雰囲気を再現したようなスウィートな楽曲も胸を打つ。歌入れは旧友ラリー・ゴールドのザ・スタジオにて。フィリーの伝説はいまも続く。

RONNIE McNEIR 『Ronnie Mac & Company』 Jupiter Island(2007)
ニュー・ソウル~モダン・ソウル文脈で人気のロニー・マクネア。現フォー・トップスのメンバーとしても活動する彼だが、56歳でリリースしたこの最新ソロ作でも、RCAやモータウンなどから放った70年代のソロ作で聴けたステッパー系のメロウ・グルーヴをキープしていた。頼りなさげなヘタウマ・ヴォーカルもこの人の味。元テンプテーションズ/現フォー・トップスのセオ・ピープルズも熱い歌声を挿む。


THE SOUL CHILDREN 『Still Standing』 JEA Right Now(2008)
新生スタックスに刺激を受けたのか、70年代のスタックスを代表した男女混成ヴォーカル・グループが、まさかの復活作を発表。絶好調のバーケイズ一派がバックアップしたとなれば悪くなるはずがなく、ソロでも現役続行中のJ・ブラックフット(61歳)による太枯れたヴォーカルを中心に、69歳のノーマン・ウェストや新参の女性メンバーたちが熱く掛け合う。故アイザック・ヘイズ作の旧ヒットも再演。

THE TEMPTATIONS 『Back To Front』 New Door/Universal(2007)
モータウンの看板でもあったヴォーカル・グループの雄が放った現時点での最新作は、前作に続くカヴァー曲集。演目はバリー・ホワイトらの70'sソウル曲が中心で、結成メンバーのオーティス・ウィリアムズ(66歳)とファルセットのロン・タイソン(59歳)を筆頭に、新顔のバリトン・シンガーなど5名の紳士が熱い歌声を交え、名門の意地を見せる。現メンバーでのオリジナル新作も待たれるところだ。