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第39回 ─ 愛のセレブレーション

ESSENTIALS 甘くて苦い、女と男の世界(その1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/06/24   18:00
ソース
『bounce』 311号(2009/6/25)
テキスト
文/林 剛、出嶌 孝次

MARVIN GAYE & TAMMI TERRELL
『United』
 Motown/ユニバーサル(1967)
音楽史上最高のデュエットによる1枚目のアルバム。運命のふたりが出会ったような“Ain't No Mountain High Enough”をオープニングに据え、情熱の高ぶりを抑えきれない男と、可憐に応じる女のコントラストがただただ瑞々しく、初々しく永続する奇跡的なアルバムだ。ここで評価を高めたアシュフォード&シンプソンの曲を増量しての次作『You're All I Need』も、当然のように素晴らしいとしか言えない。
(出嶌)

OTIS REDDING & CARLA THOMAS
『King And Queen』
 Stax/Atlantic(1967)
スタックスのキングとクイーンがやや駆け足気味に上梓した唯一のデュエット作。全体的にオーティスのペースでほぼ全曲が名曲カヴァーだが、マーヴィン&キム・ウェストンの“It Takes Two”のようにカーラ向けのナンバーも良いし、“Knock On Wood”などレーベル内の使い回しも流石の安定感だ。小気味良い演奏はMG'sの面々やアイザック・ヘイズ。この年の末にオーティスは急逝する。
(出嶌)

DIANA ROSS & THE SUPREMES AND THE TEMPTATIONS
『Joined Together: The Complete Studio Duets』
 Motown
モータウン黄金期の男女トップ・グループが合体した、68&69年のオリジナル作などを丸ごと含む編集盤。実体はダイアナひとりが男たちの相手を務め、サイケ・ソウル探求期だったテンプスも呑気な恋の歌を歌ってる場合じゃなかっただろうが……ここにあるのは最上級のプロの仕事。特に“I'm Gonna Make You Love Me”のエディ・ケンドリックスが凄い!
(出嶌)

PEGGY SCOTT & JOJO BENSON
『The Very Best Of Peggy Scott & Jojo Benson』
 Varese
96年のソロ・ヒット“Bill”でふたたび脚光を浴びるペギー・スコット(・アダムス)が、60年代にジョジョ・ベンソンと組んでいたサザン・ソウルの男女デュオ。SSSインターナショナル原盤の“Lover's Holiday”や“Soulshake”といったジャンプ・ナンバーで激しくぶつかり合うふたりの歌はオーティス&カーラに負けず劣らずの迫力で圧倒される。80年代にも名作を残した。
(林)

ROBERTA FLACK & DONNY HATHAWAY
『Roberta Flack & Donny Hathaway』
 Atlantic(1972)
ハワード大学時代の学友でレーベルメイトでもあった秀才同士の共演盤。ポップス名曲のカヴァーを織り交ぜながらジャジーに聴かせるニュー・ソウル時代らしい作品で、黒人としてのプライドを打ち出しながら穏やかに掛け合うふたりは誇り高き男女といった感じだ。なかでも“Where Is The Love”のハモリのなんと美しいこと! ダニーの没後に出た79年の共演盤も傑作だ。
(林)

ASHFORD & SIMPSON
『The Warner Bros. Years: Hits, Remixes & Rarities』
 Rhino
マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのヒットに貢献し、ソウル界における男女デュオの地位を確立したおしどり夫婦。これは彼らのワーナー時代(73~81年)の楽曲から成る編集盤で、“It Seems To Hang On”や“Find A Cure”などの都会的でスタイリッシュなナンバーが並ぶ。夫ニックのエモーショナルな歌と妻ヴァレリーの可愛く気品のある歌の絡みは、まさしく夫唱婦随!?
(林)