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第39回 ─ 愛のセレブレーション

前置きのスペースもない……リイシューの嵐

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/06/24   18:00
ソース
『bounce』 311号(2009/6/25)
テキスト
文/出嶌孝次

  今回の連載の主旨に強引に合わせると……まずはマーク・ボランとのデュエットや交際で知られる、グロリア・ジョーンズの73年作『Share My Love』(Motown/Reel Music)がついに世界初CD化! 後期T・レックスに指針を与えた彼女も、この時点ではモータウンの専属ソングライター。グラディス・ナイト&ザ・ピップス“If I Were Your Woman”などが認められてシンガー・デビュー……と、いまでいうケリ・ヒルソンみたいな人だったんですな。ここには同曲のセルフ・デモ・ヴァージョンも初出音源として収められ、ライナーノーツは愛息ローハン・ボランが執筆しています! それと同時に初CD化されたのが、モータウン史に異彩を放つ白人シンガー、クリス・クラークの67年作『Soul Sounds』(Motown/Reel Music)。ハリウッド風のルックスとは裏腹にブルージーな歌唱は、ダスティ・スプリングフィールドをもっとディープにしたようにも思えます。

  ってことで、そのまま深いほうへ……JBとのカラミでも知られるシュガー・パイ・デサントのチェス音源を集大成した編集盤『Go Go Power: The Complete Chess Singles 1961-1966』(Kent/Ace)を推薦。レーベルメイトにあたるエタ・ジェイムスとの共演曲も入っているので、映画「キャデラック・レコード」を観る前にチェックしてみるのもアリでしょう。また、スピナーズ~Pファンク軍団で活躍したフィリップ・ウィンがシュガーヒルに残した84年作『Soul From Sugarhill』(Sugarhill/Shout!/MAGNUM CAT)も何度目かのリイシューで久々に入手しやすくなりました。あの独特のこくまろな歌声が(当時の)モダン・サウンドで楽しめるなかなかの佳作になっていますよ。トレチャラス・スリーとのボーナス収録されていますよ。

  で、残るは泡沫盤(失礼)たち。まずは着実にリイシューの進むロイ・エアーズ作品から、ユビキティの78年作『Starbooty』(Elektra/Wounded Bird)が初CD化。ジャズ・コーナーにあるのでしょうが、ジャケを見ればわかるようにディスコ期の軽薄なキャッチーさに溢れた超グルーヴィーな一撃なので、これはソウル・ファンにもオススメです。それと近い時期のブツとしてはベル・エポックの77年作『Miss Broadway』(Atlantic/Wounded Bird)も登場。歴史的にはまったく重要じゃないけど、こういうジャケが気になってしまう人には大当たりのはず。で、最後はあの「フラッシュダンス」の歌だけは死ぬほど有名なアイリーン・キャラの87年作『Carasmatic』(Elektra/Wounded Bird)。ジョージ・デューク制作でルーサーも関与している、埋もれた佳作ですので~。