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ニンジャ・チューン20周年

連載
360°
公開
2010/10/18   17:25
更新
2010/10/18   17:25
ソース
bounce 325号 (2010年9月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

DJKENTAROが語るニンジャとの20年

 

十年一昔だとしたら、20年というのは相当な大昔になる。にもかかわらずその名前がまるで古びたように思えないのは、彼らが常にみずからを更新することを恐れたり怠ったりしていないからだろう。ビッグ・ライフ傘下のアヘッド・オブ・アワ・タイムから鮮烈なデビューを飾り、ブレイクビーツの古典“Beats + Pieces”(87年)などを残してきたコールドカットが90年に設立したレーベルこそニンジャ・チューンである。

「自分が小学生の頃にすでにレーベルとして始まっていたと思うと驚きです。最初に出会ったのは中学生か高校生の頃に買ったDJフードの〈Jazz Breaks〉シリーズだったと思いますが、当時のヒップホップ観からするとすごく新鮮なブレイクビーツを量産していたので、すぐに虜になったのを覚えています。他にはない独特なレーベルだと思うし、僕も日本人として参加させてもらっているのは嬉しい限りですね。今後も50周年、60周年と続いていくことを願っています」。

そのように賛辞を惜しまないのはDJKENTARO。DJとして、あるいはリスナーとしてニンジャの音源に親しみ、現在はレコーディング・アーティストとして契約を結んでもいる間柄だ。今回のアニヴァーサリーに際して、彼とコールドカットが1枚ずつ選曲した2枚組のコンピ『Ninja Tune XX 20th Anniversary Japan Edition: Coldcut vs DJKENTARO』がリリースされるのだが、その話の前にまずはKENTAROが契約前とそれ以降でニンジャに抱いていた印象がどうなったかについても記しておこう。

「とにかく他のレーベルと違ったのは、あのハイセンスな音楽観と、ただ多ジャンルなだけではない独特の幅広さを持っていたことで、いちリスナーだった頃から自分のヒップホップ観と合っていましたね。契約後も変わらずそのスタンスはキープしていると思うし、時代にちゃんと適応していっている感じも好きですね」。

そんなKENTAROだけに「どのアーティストにも少なくとも1つは好きな曲があると思います」とのことで、コンピの選曲も相当難航したのではないだろうか?

「基本的には自分の好みで選びました。あと、コールドカットのほうが比較的新しいアーティストを選ぶことをコンセプトにしているので、僕のほうは長年在籍しているアーティストたちを多く選んだと思います。分数が限られているので、やむをえず削った曲もたくさんありますね」。

そうやって苦心の末に生まれたのが、ヴァイナル・オンリーだった楽曲も数多く含むこだわりのセレクションである。「僕のアルバムの曲をケミスツがリミックスしてくれたお気に入りのフロア・チューンです。ヴォーカルの使い方も原曲とは違うタイミングでずらし込んで使っていたり、ベースラインをアレンジしているあたりなどに彼らのセンスを感じますね」という“Rainy Day(The Qemists Remix)”や、逆に「コールドカットの誰もが知るクラシックを、ターンテーブルのみで再構築させてもらった曲です。いわゆるビート・ジャグリングをレコーディングしたものなんですが、ライヴ感を出せれば良いなと思って作りました」というコールドカットの“Not Paid Enough(DJ Kentaro Turntable Remix)”といったKENTARO自身の関連チューンも要所に配しながら、ニンジャへの深い理解と愛が感じられるトラック群は圧倒的だ。また、「高校時代に出会った曲で、聴けば本当に当時のことを思い出すくらいよく聴いた曲のひとつ」だというロンドン・ファンク・オールスターズの“Listen To The Beat”(95年)やDJフードの“The Dawn”(94年)など、KENTARO自身のメモリアルな意味合いと分かち難く結び付いた楽曲がチェックできるのもファンにはたまらないだろう。

一方でコールドカットの選曲は、「このセレブレーションを溢れんばかりの最先端のマテリアルを以て祝いたいと思う」というステイトメントの通り、アーティスト陣もリミキサーも極めてフレッシュな気鋭のメンツが軒を連ねている。そこでは意外な名前がニンジャとの契約を前提に(?)ピックアップされているのも興味深いポイントじゃないだろうか。例えばミス・ダイナマイト(!)をフィーチャーしたトドラTの“Want U Now”やドリアン・コンセプト“Her Tears Taste Like Pears”、そしてゾンビー“The Forest”といったすでに実績のある大物たちがエクスクルーシヴ曲を持ち寄っているのだ。そういった〈新顔〉たちがどうやってアルバム・リリースまで漕ぎ着けていくのかは今後の展開を楽しみに待つとして、このあたりのチョイスはいかにも「この記念は過去の偉業を振り返って、それを肴にして騒ぐためのものではない」と語るコールカットらしいところではある。エスキモーやティーブスといった別項で紹介しているニューフェイスも含め、2010年代のニンジャもますます先鋭性を磨き上げ、時代に応じた刺激的なサウンドを届けてくれるだろう。

なお、KENTARO&コールドカット選曲のコンピ以外にも記念盤はいくつか登場予定で、とりわけ豪華な装丁を施された6枚組ボックスセット『Ninja Tune XX -Box Set』はヴォリュームもセット内容も含めてコアなファンなら必携の逸品に違いない。この後には東京と大阪で記念公演も予定されているし、ますます前進を続けるニンジャにはますます注目なので……ござる。

【耳より情報】11月5日(金)東京・SHIBUYA O-EAST、11月6日(土)大阪・TRIANGLE & FANJtwiceをニンジャ軍団が急襲! 出演者などの詳細は〈www.beatink.com〉にて!

 

▼ニンジャ・チューンの20周年記念盤を紹介。

左が20周年を記念した限定ボックスセット『Ninja Tune XX - Box Set』(Ninja Tune)。CDと7インチが6枚ずつセットされ、他にも豪華なあれこれが詰まってる! CDのうち2枚は個別リリースなしというズルすぎる仕様!! 中央と右が20周年コンピ『Ninja Tune XX Vol.1』『Ninja Tune XX Vol.2』(共にNinja Tune/BEAT)。それぞれボックスセットのDisc-1+2、Disc-3+4を収めた2枚組!

 

▼ニンジャの顔役たちの作品を紹介。

左から、コールドカットの初期ベスト盤『People Hold On: The Best Of Coldcut』(Camden)、DJフードの2000年作『Kaleidoscope』、DJヴァディムの99年作『U.S.S.R. Life From The Other Side』、キッド・コアラの2006年作『Your Mom's Favorite DJ』、ヘクスタティックの2007年作『When Robots Go Bad』(すべてNinja Tune)

 

▼DJKENTAROの作品を紹介。

左から、2005年のミックスCD『On The Wheels Of Solid Steel』、2007年作『Enter』(共にNinja Tune)、2008年のミックスCD『dj KENTARO "NAMA" Live Mix』(Endeavor)

 

▼こいつらもニンジャ入りか!?とビックリな大物の作品を一部紹介。

左から、トドラTの2009年作『Skanky Skanky』(1965)、ドリアン・コンセプトの2009年作『When Planets Explode』(Kindred Spirits)、ゾンビーの2009年作『One Foot Ahead Of The Other EP』(Ramp)

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