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ニンジャ・チューン20周年

FLYING LOTUS

連載
360°
公開
2010/10/18   17:25
更新
2010/10/18   17:25
ソース
bounce 325号 (2010年9月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

ワープのアーティストですが……ついでに新作をご紹介!!

 

 

ついでというのは失礼か。ニンジャとワープは以前からクラブ・ミュージックを専門とする老舗UKインディーの双璧と見なされてきたし、エスキモーのように両方からリリース歴のある人も多い。ワープに属するこのフライング・ロータスもニンジャ絡みのリミックス仕事などが多く、何より彼の主宰するブレインフィーダーはニンジャと契約している……ってことで、ここではいまも記憶に新しい『Cosmogramma』から半年で届けられた新作、7曲入りのEP『Grid+Pattern World』を紹介しておこう。

「今回は何か新たなものを生み出したっていうわけじゃなく、単純にいまの自分を表した記録という感じかな。自分の大好きなことを何のプレッシャーも感じずに作ったらこうなった。アルバムを作るのは俺にとってプレッシャーなんだけど、EPは重圧なしにいろんなアイデアを試せて、楽しければそれでいい。そういうフォーマットだと思ってるよ」。

その言葉通り、今回は大掛かりなコンセプトを設けず、純粋にビートだけと戯れた気軽な作りのようにも思える。

「まさしくその通りさ! キッズたちは〈コスモも悪かねえけどさ、もっとヒップホップみたいなビートを聴かせろよ!〉とか言ってくるんだ(笑)。彼らの気持ちもわかるし、ナメられたくないんだよ(笑)。俺はいつでもヤバいビートを作れるってとこ見せとかないとな!」。

そんな軽い意気込みを反映した本作はコズミックなシンセが漂う“Clay”で幕を開け、比較的ヒップホップ寄りの“Camera Day”、コミカルなチップ・チューン、グライミーな重低音マナー、人懐っこく奔放なダンス・トラックなどが気安い佇まいで妙に楽しげに並んでいる。今後のブレインフィーダーの動きと併せて注目しておくべきドープな小品集なのだ。

 

▼関連盤を紹介。

フライング・ロータスの2010年作『Cosmogramma』(Warp)