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ブレインフィーダー

連載
360°
公開
2011/08/18   14:56
更新
2011/08/18   16:57
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/出嶌孝次


THUNDERCAT



THUNDERCAT_A



雷鳴を轟かせる凄腕ベーシストが初のアルバムを完成したぜ!


こんな宇宙を敷き詰めておいてナンなんですが、『Golden Age Of Apocalypse』を聴くにあたっては、例えば海岸沿いの風景写真が背景でも構いません。フライング・ロータスが主宰するブレインフィーダーからの新作で……という前置きがなければ、それこそDORIANのようなコズミック・フュージョンとして楽しむ人も増えるのかも。それほどにポップで軽快で心地良くて……やっぱり宇宙的ではあるのですけれども。

主役の名はスティーヴン“サンダーキャット”ブルーナー。LA出身の84年生まれ。スーサイダル・テンデンシーズのベーシストとして活動する一方、サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズや、その周辺のビラル、エリカ・バドゥらとも数多くのライヴやレコーディングを経験してきた若きヴェテランであります。サンダーキャットとフライング・ロータスの共通点は音楽一家に育ったことでもありましょう。彼の父は全盛期のモータウンでドラムを叩いていたロナルド・ブルーナー。兄はジョージ・デュークらと活動してきた現スタンリー・クラーク・トリオのドラマー=ロナルド・ブルーナーJr。そんなジャズ一家に生まれ育った猫さんですが……。

——お父さんから影響されたり、具体的に教わったことはどのようなものでしたか?

「すべてだね。父はベーシストじゃないけど、俺が音楽について知っていることすべては彼に教えてもらった。考え方からマナーまでね。スイサイダル・テンデンシーズ、エリカ・バドゥ、フライング・ロータスと違うタイプのプロジェクトに関わってるけど、俺はそれらを別のものだと捉えてないんだ。俺にとってはすべてが同じ。そういうふうに育てられてきたんだ。

——では、子供の頃からどんな音楽を聴いてきましたか?

「最大の影響を与えてくれてるのはやっぱりジャズだよ。クラシック・ロックもたくさん聴いた。いろんなものを聴きながら、その関係性のなかでゴスペルとかファンクとか、また違うものを発見してきた感じかな」

——クロスオーヴァーな演奏家ではジャコ・パストリアスを思わせる部分もありますが、彼の影響は?

「いちばん好きなベーシストはスタンリー・クラークだね。理由は……とにかく素晴らしいからさ(笑)。自分でベースも弾いてヴォーカルもやるし、周りがどう思うかにとらわれず、自分の道を貫いてる。俺にとってはヒーローみたいな存在さ。『Journey To Love』は俺がもっとも素晴らしいと思うアルバムで、子供の頃に“Silly Putty”を聴いた衝撃は忘れられないね。俺のアルバムに今回収録した“Return To The Journey”は彼へのオマージュなんだ」

——ブーツィー・コリンズはどうですか?

「彼はこの地球上でもっともファンキーな男だよ! 彼ともたまに話すけど、関わりを持てて本当に幸せだね」

——そんななか、サー・ラーやフライング・ロータスとはどのように知り合ったんでしょう? いつのまにかLAシーンの中心にいたような感じですが……。

「ああ、気付けばここにいたって感じ(笑)。ただ、いちばん〈いま〉を感じる場所だからっていうのはあるね。サー・ラーとは、俺がサイ・スミスのバンドでライヴしてたのを観に来てたタズと最初に知り合って、そこからシャフィークと会うんだけど……彼とはもう悪友って感じでさ(笑)。ロータスとはSXSWで出会った。バーかどこかだったかな。彼とは怖くなるほど似てる部分があるんだよね(笑)」

——そのロータスと、まず彼の“MmmHmm”で共同作業したわけですが、どんなきっかけで自身のアルバム制作に至ったんでしょう? ロータスやお兄さん、サー・ラー、エリカ、ミゲル・アトウッド、とミュージシャンシップの高い布陣も印象的ですが……。

「アルバム制作っていうよりは、書き溜めてた曲が集まった感じかな。時間ができた時にちょくちょく作ってたものが溜まった結果で、最初は自分のアルバムを作ろうと思ってたわけじゃないんだ。曲名さえ考えてなかったしね」

——そんな状態からアルバムをまとめるにあたって最大のモチヴェーションとなったのは?

「最大のモチヴェーション……言われてみると何だろう? 説明できないけど、ピュアな感情かな」

——今回も自身の歌を披露していますが、シンガーとしての自分をどう評価していますか?

「トニー・ウィリアムスが自分の作品で歌うなら、俺も歌おうって思ったんだ。俺がヴォーカリストとして優れているとは思わないし、マーヴィン・ゲイのような人たちと比較されるなんてごめんだけど。ただ俺の声は俺の音楽にフィットすると思うし、続けることでしか上達しないわけだしね」

——では、この作品を送り出すブレインフィーダーをどのようなチームだと認識していますか?

「ブレインフィーダーはマジで最高。クソ格好良いと思ってるぜ。よりクリエイティヴになって作業できるし……とにかく独創的でアーティスティックで、チーム全体が異星人みたいなんだ(笑)。俺だけじゃなくて、皆この惑星の人間とは思えない奴らばかりさ(笑)」



▼『The Golden Age Of Apocalypse』参加アーティストの作品を一部紹介。
左から、シャフィーク・フサインの2009年作『Shafiq En' A-Free-Ka』(Plug Reserch)、ミゲル・アトウッド・ファーガソンが在籍するビルド・アン・アークの編集盤『The Stars Are Singing Too: 10 Year Anniversary Special 2001-2011』(disques corde)、J・デイヴィーの2008年作『The Beauty In Distortion/Land Of The Lost』(Interdependent Media)、ドリアン・コンセプトの2011年のEP『Her Tears Taste Like Pears』(Ninja Tune)

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