こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

フランチェスコ・トリスターノ、勅使川原三郎 & 佐東利穂子/リユニオン〜ゴルトベルク変奏曲〜より

《ゴルトベルク》と再会し、再結合すること

連載
OCHANOMA Pre-View
公開
2012/01/20   16:20
ソース
intoxicate vol.95(2011年12月10日発行)
テキスト
text:前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)

今回の『リユニオン』では、前回の共演で演奏したフランチェスコの2曲に加え、バッハ《ゴルトベルク変奏曲》を新たに演奏する。しかも、単純に全曲を弾くのではなく、今回の公演のためにフランチェスコは特別な抜粋版を用意するという。

「構造的に見ると、《ゴルトベルク》は3曲ごとにカノンが現れる構成となっています。最初のカノン(第3変奏)は同度のカノン、第2のカノン(第6変奏)は二度のカノン……という風に、カノンは曲の進行に従って、徐々に進展していきます。そして、最後のカノンになると、最初の主題とは大きく異なった変容が見られるのです。ですから、今回はそれらのカノンを全部弾いて、《ゴルトベルク》の構造を明らかにしたいと思います。ただし、カノンのない第13変奏は、ぼくのお気に入りの変奏なので、例外的に加えることにしました。第13変奏を弾くもうひとつの理由は、厳密な変奏の合間に〈幻想曲〉を弾くような効果を出したいからです。緻密なカノンの対位法ばかり続くと、あまりに数学的すぎて、聴く側も疲れてしまいますからね。一息つく、という意味でも、少し自由な曲を挟む必要があるのです」
対する勅使川原は、かなり早い時期に《ゴルトベルク》の作品化の構想を抱いていたことがある。

「当時の構想では、単に音楽に追従するのではなく、音楽と身体がいかにあるべきか、ということを考えていました。バッハによって作曲された《ゴルトベルク》は、本来、ダンスを必要としている音楽ではない。単にダンスが音楽に寄り添っているだけでは、置かれた椅子や流れる雲と同じになってしまう。そこに〈ダンスが起こる〉という主体性が成立するためには、音楽とダンスが同じ価値を持ち、しかも積極的に関わらなくてはいけない。つまり、ダンスが〈毅然としたメソッド〉を見せていかないと、音楽に対して失礼になってしまうということです。そうした関わり方を作ることが、僕にとってのダンスではないかと。今回の公演では、空間にピアノが1台あれば、装置として充分成り立ちますし、フランチェスコもパフォーマーとして存在している。ですから、視覚効果を作るために演出的なことをしようとは思っていません。それによって音楽が崩れてしまったらつまらないし、ダンスによって音楽の印象を変えてしまうことも、決してしたくない。そうではなく、音楽と共に〈何がそこに存在するのか〉を、明確に表現できたらいい。《ゴルトベルク》という曲は有名ですし、観客ひとりひとりに思い入れがあるでしょうから、それをいったんまっさらにして進めることが出来れば、と思っています」

そう、フランチェスコ+勅使川原+佐東の3人が挑む『リユニオン』とは、誰もが知っているはずの《ゴルトベルク》と予想もしない形で〈再会〉し、音楽とダンスが今までにない形で〈再結合〉する、前代未聞のコラボレーションなのだ。

フランチェスコ・トリスターノ 勅使川原三郎 & 佐東利穂子 リユニオン〜ゴルトベルク変奏曲〜より
2012年2月16日(木)19:00開演/18:30開場
会場:すみだトリフォニーホール

出演:フランチェスコ・トリスターノ(ピアノ) 勅使川原三郎(ダンス)   佐東利穂子(ダンス)

プログラム:
フランチェスコ・トリスターノ:Hello
J.S.バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」より抜粋
ジョン・ケージ:ある風景の中で
F.トリスターノ:Nach Wasser Noch Erde

全席指定(公演チケット:好評発売中)
前売 S席 :5,500円 A席:4,500円 B席:3,500円
当日 S席:6,000円 A席:5,000円 B席:4,000円
*トリフォニークラブ会員は前売りのみ各10%割引(トリフォニーホールチケットセンターのみ受付)

■チケットのご予約・お問合せ:
ユーラシック03-3481-8788/トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212/チケットぴあ0570-02-9999 http://t.pia.jp/(P-コード:416-954)
e+(イープラス) http:/eplus.jp/東京文化会館チケットサービス03-5685-0650

主催:ユーラシック
共催:すみだトリフォニーホール
後援:ルクセンブルク大公国大使館
協力:ユニバーサル ミュージック
*都合により公演内容の一部が変更になる場合がございます。
*未就学児のご入場はご遠慮下さい。

http://www.eurassic.jp/reunion/

RELATED POSTS関連記事