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第59回――リヴァート・ファミリー

ESSENTIAL――リヴァート家の名盤たち……のごくごく一部!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/07/18   00:00
更新
2012/07/18   00:00
ソース
bounce 346号(2012年7月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛、出嶌孝次


THE O'JAYS 『We'll Never Forget You: The Imperial Years 1963-66』 Shout

マスコッツ名義も含めた散発的なシングル発表を経て、オージェイズが最初の安住地としたインペリアルでの音源集。まだドゥワップ色の残るスタイルから始まって、トミー・リピューマやニック・デカロとの仕事も経験、徐々にグループの佇まいを変えていった4年間の歩みが追体験できるはず。なお、66年はジェラルドの生まれ年でもある。 *出嶌

 

THE O'JAYS 『The Essential O'Jays』 Sony

ソウルに止まらずポップ・ミュージックを聴くうえでの大前提となる、フィラデルフィア・インターナショナルで迎えた70年代の〈黄金期〉を中心にした決定版的なベスト。ただ、クリエイターとして成長したジェラルド&マーク・ゴードンがヴェテランの現代化を促した80年代後半以降の姿まではここでカヴァーされておらず。フィリー初期以外の復刻もお願いします。 *出嶌

 

TRUTH 『Al Boyd Presents The Real Truth』 MAGNUM CAT

元オージェイズのボビー・マッシーを後見人とし、ラリー・ハンコックがリードを務めたオハイオの4人組。エディ・リヴァートのレーベルから放ったデビュー曲“Come Back Home”(76年)を含むこの編集盤は、同曲のセッションにおける未発表音源から成る。フィリー・マナーの曲を熱く歌い込むスタイルは、まさしくオージェイズの弟分といった趣だ。 *林

 

LEVERT 『The Big Throwdown』 Atlantic(1987)

ついに親離れし、ジェラルドとマークが制作の主導権を握ったリヴァートの3作目。ゴーゴーを意識した大ヒット曲“Casanova”こそオハイオの先輩にあたるキャロウェイ兄弟の制作ながら、R&Bとヒップホップの架け橋となるようなリヴァートのシグニチャー・スタイルがここで完成を見せた。スロウ・バラード“My Forever Love”の美しさにも息を呑む。 *林

 

LEVERT 『The Best Of Levert』 Rhino

せっかく初作がCD化されたのに、以降のオリジナル作がほぼ入手困難だとは不幸すぎる。このベスト盤はメジャー入りした86年から93年までの大ヒット群をまとめたもの。跳ねるダンス・ビートでストリートを意識していた頃から、ボーイズIIメンらが引き起こしたヴォーカル・グループ・バブルに対応したジェントルな“ABC-123”まで、ジェラルドのまろやかさが眩しい。 *出嶌

 

GERALD LEVERT 『Love And Consequences』 Elektra(1998)

リヴァート活動休止後の初ソロ作(通算3作目)で、ティンバランド以降のビート革命に対応する新たなチャレンジも成功させた代表作だが、当然ファミリーの絆も忘れはしない。弟ショーンとの絡みも2曲あり、うち“Point The Finger”ではオージェイズ“Back Stabbers”をネタ使い。愛娘レミカの幼い声と親バカ気味に掛け合う“Humble Me”も泣かせる。 *出嶌

 

THE O'JAYS 『Imagination』 Sanctuary Urban(2004)

オリジナル・アルバムとしては現時点での最新作。ジャム&ルイスやトロイ・テイラーらの外部プロデュ−ス曲とエディ&ウォルターの自家製ナンバーを中心に迎えている。80年代からたびたび親父たちの現代化に寄与してきたジェラルドもここでは控えめに“I Would Rather Cry”でサポート。まったく守りに入らない姿勢のみならずストロングな歌唱は余裕で健在。 *出嶌

 

GERALD LEVERT 『Do I Speak For The World』 Atlantic(2004)

ジェラルド、生前最後のオリジナル・ソロ。本人と相棒のエドウィン・ニコラス、およびLSGでも世話になったダレル・アランビーが制作の中心となったここでもリヴァート節はまったくブレることなく、メロディアスかつ重厚な楽曲を熱くディープに歌い込む。“What Happened To The Lovin'”では父や息子たちも招いて三世代のBloodlineを強調。 *林

 

GERALD LEVERT 『Voices』 Rhino(2005)

毎年のように出していたソロ・アルバムのサイクルをいったんストップし、小休止すべくこれまでのデュエットやLSGなどのコラボ曲をまとめた変則的なベスト。3つある新録ナンバーで注目なのはやはりリヴァート名義で3人が共同プロデュースも担った“I Like It”で、過剰なセレモニー感のない作りからは逆にこの続きも普通に予定されていたということがわかる。 *出嶌

 

GERALD LEVERT & EDDIE LEVERT SR. 『Something To Talk About』 Atlantic(2007)

ジェラルドの他界後に発表された、『Father And Son』(95年)以来2度目となる父エディとの共同名義作。親子の伝記本と連動したアルバムで、過去音源にオーヴァーダブを施した痕跡もあるが、どちらが父か息子か判らないディープ歌唱競演にまたも打ちのめされる。ショーンも客演し、相変わらずのファミリー・タイズ。 *林

 

LEVERT II 『Dedication』 KES(2009)

当初はCD-Rで、2年後にプレス盤で登場した初のアルバム。往時のリヴァート節を受け継ぎながらもGの濃厚さを失ったぶん、整合性を重視したスタイリッシュな作風に徹している。コーラスが美麗なマーカス・ディヴァイン制作の“Call Me”を筆頭に、ブラック・ローズ主導の“Cold Blooded”も時流に即したスムースネスが素晴らしい。次にも期待したくなる佳曲だらけの逸品だ。 *出嶌

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