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VYBZ KARTEL

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/09/18   00:00
ソース
bounce 359号(2013年9月25日発行)
テキスト
文/山西絵美


塀の中から届けられた新作で、ハードコアなイメージを払拭!?



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メジャー・レイザー『Free The Universe』の冒頭をリズミカルなフロウで飾り、8月末には内縁の妻が立ち上げたレーベルより新曲を発表したこともあって不在感は希薄ながら、現在、複数の殺人容疑で拘留されているヴァイブス・カーテル。バッドマン・スタイルで鳴らしたDJだけに、(真相はともあれ)あまりにもイメージ通りじゃないですか……と思っていたところへ到着したニュー・アルバム『The Voice Of Jamaican Ghetto: Roots & Culture』はどうでしょう。

本作は2011年の逮捕前に録音された楽曲で構成。〈ジャマイカを良くする方法〉を提案した昨年発行の著書と同様に、貧困に苦しむゲットーのリアルを切々と説いています。当然スラックネスなどは封印し、カーテルのイメージ刷新に一役買いそうな内容というわけ(裁判にも有利に働くかな?)。そうなるとルーツィーなサウンドかと思いきや、ピアノやストリングスを配したキャッシュ・フロウ得意の涙腺直撃系ミディアムから、激しいドラム・パターンが90sダンスホールを思わせるスティーヴン・マクレガー製〈Boast〉に、レイヴィーなシンセがビュンビュン飛び交うダセカ産〈Street Team〉使いのアップまで、リディムは予想以上に多彩です。これを聴くにつけ、絶頂期の逮捕劇が悔やまれてなりません。



▼ヴァイブス・カーテルのニュー・アルバム『The Voice Of Jamaican Ghetto: Roots & Culture』(Whirlwind/VP)