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【第23回】――1 Believe FNC [future]

連載
ZOKKON -candy floss pop suite-
公開
2013/08/29   19:20
更新
2013/08/29   19:20
ソース
bounce 358号(2013年8月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/出嶌孝次


鹿児島から登場した新しい未来



FNC_A



ローカルという言葉がもしネガティヴに響くとしたら、それは中央集権的な価値観に囚われているのかもしれません。例えばリル・ウェインをどう形容しても本質に揺るぎがないように、むしろ中央に対するローカルという概念こそが魅力的に映ることも多々あるわけで……って何の話? まあ、「あまちゃん」を例にもっともらしい〈ローカル・アイドル論〉とかを後付けしなくても、そんな現況はシーンの動きを追っている人には説明不要でしょう。そして、津々浦々でアイドルなるものが一般化した現在、傍から眺めているだけでも、特にフレッシュな新顔を次々と輩出しているように思えるエリアのひとつが九州(大雑把な括りですが……)であります。

で、ここで新たに紹介したいのが鹿児島県の大隅半島から登場した1 Believe FNC [future]。2011年12月にオーディションで結成された1 Believe FNCの、1期生9名から成る〈勇気と元気の伝道師〉たちです。個々に好きな音楽を訊ねてみると、安室奈美恵やEXILE、そして少女時代や2NE1といったK-Popが挙がってくるように、もともとダンス志向の強いメンバー揃い。本人たちも「ダンスが武器!」(SAYAKA)と胸を張る通り、健康的なパフォーマンスを持ち味としています。

「ダンスとチームワークと挨拶は、どこにも負けません!」(AYANE)。

「合宿で山に登ったり、走ったり……他のグループさんは絶対してないと思います!!」(SUZU)。

持ち前のスキルを磨き上げ、昨年12月には「私たちの経験したことが歌詞になっている」(MOMOKA)という軽快な“Believe in your self〜自分を信じて〜”をシングル・リリース。これが流通を介さずに4,000枚(!)のセールスを上げたというから、周囲が寄せる期待の大きさも明白でしょう。

「もっとたくさんの方々に聴いてほしいと強く思うようになりました。パフォーマンス力を上げようとみんなでたくさん練習しました」(SUZU)。

そして今回届いたのが、初の一般流通作品となるファースト・アルバム『Seriousness〜シリアスネス「本気」〜』です。いきなりのアルバムというところにも本気を感じますが、粗削りながらも素朴さをぶつけてくる歌にグッとくる人は多いでしょう。デビュー曲をはじめ、ポジティヴに現状打破を歌う“toward a dream”、幸福招来な明るさが眩しい“FULL OF MEMORIES”などのダンサブルなナンバーから、「みんなの切ない歌声がポイント」(SUZU)というウェットな“あの光る場所へ”、「一人一人に気持ちを込めて歌う」(IROHA)という“ありがとう”などのミディアムまで、「全部9人の気持ちが詰まっている」(URARA)という全9曲。予想以上に大人っぽさを意図した仕上がりは、いわゆるベタベタなアイドルっぽさとは少し異なる佇まいを反映したものかもしれません。

現在は鹿児島〜九州を中心にアイドル・イヴェントからダンス・コンテスト、地元のお祭りまで多様な舞台で活躍している9人。〈かっこいい系〉の[future]に対し、2期生による〈かわいい系〉のグループ[sweet]もCDデビュー間近で、今後もチームとしての飛躍が期待できそうです。

「地元にも来てほしいけど、たくさんの人に知ってほしいのでいろんなところでライヴをしたいです!」(URARA)。

「遠方でライヴすると新鮮な感じがします。でも、私たちが生まれ育った地で歌を聴いてほしいという気持ちがあります」(SUZU)。