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Sound Live Tokyo

公開
2013/08/23   22:33
ソース
intoxicate vol.105(2013年8月20日発行号)
テキスト
text:高野直人(秋葉原店)

マヘル・シャラル・ハシュ・バズ

音?音楽?演劇?パフォーマンス? 頭をやわらかくして楽しむフェス!

今年もやります!「音と音楽に関わる表現の可能性を探究するフェスティバル」、サウンド・ライヴ・トーキョー。単純に音と音楽に驚きたい人、目から鱗が落ちたい人なら必見のフェスといえましょう。昨年より会場も増え(上野に加えて、南麻布、原宿や六本木なども)、会期も延び参加アーティストも倍増。以下簡単にプログラムの内容を紹介しましょう。

東京都立中央図書館では、アント・ハンプトンとティム・エッチェルスの共作で、ヘッドフォンを使った体験型パフォーマンス『The Quiet Volume』を行う。六本木スーパー・デラックスでは、「まだ巡りあった事のない新しい音楽に出会いたい!」というキーワードをもとに、全国から公募で選ばれたアーティストとゲスト参加で鈴木昭男と灰野敬二がパフォーマンス。原宿VACANTでは、家電蒐集家・松崎順一とガジェット開発者の小林ラヂオによる、「テープ音源を再生するオルガン」として開発されたメロトロンを再解釈・構築する「ラジカセ・メロトロン化計画」の制作とパフォーマンス。上野では、菊地成孔をして「天才だからしょうがない」と言わしめた怪物SSW倉地久美夫と、パステルズのメンバーも賞賛する工藤冬里率いるマヘル・シャラル・ハシュ・バズという組み合わせ。生まれながら聴覚を持たないアーティスト、クリスティン・スン・キムの「音」をめぐるサウンド・パフォーマンス。演劇活動で数々の伝説を作り続けるだけでなく、大友良英との音楽による共演等でミュージシャンからもリスペクトされる飴屋法水と先述のマヘルの工藤冬里との共演は、近年の工藤の演劇性の高いパフォーマンスを考慮に入れると、実際に蓋を開けるまで何(音楽?演劇?)が起こるのか予想不能な、個人的には今回のフェスの目玉なプログラム。沖縄からは、今年久保田麻琴プロデュースの『BLUE YAIMA』をリリースした八重山民謡の第一人者大工哲弘!くるりの京都博覧会でご覧になった方もいらっしゃるでしょう。国境を越えて民族音楽とは何か? という思考/実践と、千昌夫の《星影のワルツ》をカヴァーが共存できてしまうこととは何なのか? 人類と音楽の在り方を指し示す必見のライヴ! ワンマンです! 一方、サハ共和国から超絶技巧口琴ユニットアヤルハーンが電子音響と錯覚してしまうような倍音を送り届けてくれるでしょう。

大工哲広

ジャンル/アーティストの幅の広さと実力、それらをチョイスしたディレクターの確かな「耳」は特筆に価する(更に良心的すぎる料金設定も付け加えておこう)。一プログラムでも興味を持たれたら(実際にご覧になられ満足されたら)、他のプログラムも是非トライしてみることをオススメ! 充実した「音楽の秋」をお約束致します。

LIVE  INFORMATION
『サウンド・ライブ・トーキョー』  

9/21(土)~ 10/6(日)
参加アーティスト:アント・ハンプトン/ティム・エッチェルス/倉地久美夫/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ/クリスティン・スン・キム/飴屋法水×工藤冬里/大工哲弘/アヤルハーン/鈴木昭男/灰野敬二/松崎順一/小林ラヂオ/堀尾寛太/ほか
会場:東京文化会館小ホール/東京キネマ倶楽部/上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)/東京都立中央図書館/スーパー・デラックス/VACANT
http://www.soundlivetokyo.com