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Hyperdub10 

連載
360°
公開
2014/01/08   17:59
更新
2014/01/08   17:59
ソース
bounce 362号(2013年12月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


10年に及ぶハイパーダブのステップを、来日前に再検証するぞ!



Kode9_A



ハイパーダブの初来日公演は2012年6月に行われているが、総帥コード9がその時に引き連れていたのはキング・ミダス・サウンドにハイプ・ウィリアムス、DVAという顔ぶれだった。そして2014年1月、創立10周年を祝う〈Hyperdub10〉として再上陸を果たすメンツは、DJラシャドにアイコニカ、ローレル・ヘイロー。ここまでガラリと色合いが違うと気持ち良いほどだが、このレーベルを少なからず追いかけてきたリスナーなら、その多様性はあらかじめ了解済みのことだろう。

もともとハイパーダブは、コード9ことスティーヴ・グッドマンがUKガラージやグライムを紹介すべく2001年に立ち上げたウェブサイトだった。そこから本人が音源を出すためにレーベルという形態に発展したのが2004年のことだ。同年にコード9の参加したのがリフレックスの『Grime 2』なる名前の〈ダブステップ・コンピ〉だったように、彼やデジタル・ミスティクスの活躍こそがダブステップなるものを規定し、世界に広めていったのだ。そんななか、ブリアルとの出会いを契機にコード9は自身の作品以外も出していくことを決め、コンスタントなシングルのリリースに入る。その状態は設立5周年にあたる2009年頃まで続いた。

2009年といえば〈ダブステップ〉そのものが過渡期を迎えていた時期にあたる。ジェイムズ・ブレイクの“CMYK”もスクリレックスのEPも翌2010年のリリースになるが、そうやって何かが切り替わる頃、オリジネイターとしてダブステップ最初の興隆期を築いたハイパーダブはそこにはいなかった。まさにダブステップという言葉が多様な意志によって多様に機能しはじめた2010年から、ハイパーダブは所属アーティストの幅を自由に広げつつ、各々のヴァリューを高めるアルバム・リリースにも積極的になりはじめている。そして〈ダブステップ・レーベルではない〉というスタンスが、ロンドンを代表するインディー・レーベルのひとつという現在の姿を導き出したというわけだ。友人のアクトレスいわく「彼は一度もテクノに傾倒したことはない」というコード9だが、昨今のロースターやサウンドの傾向を窺えば、時代の先を読む〈耳の良さ〉は疑うまでもないだろう。本人やブリアルの動きはマイペースながら、カラフルな才能たちがハイパーダブの現在と未来を創造し続けていくのだ。



▼コード9+ザ・スペースエイプの作品。
左から、2006年作『Memories Of The Future』、2011年作『Black Sun』(共にHyperdub)

 

▼コード9の外部ワークスを一部紹介。
左から、2010年のミックスCD『DJ-Kicks: Kode9』(!K7)、バトルスのリミックス集『Dross Glop』(Warp)、2013年のミックスCD『Rinse: 22』(Rinse)

 



Hyperdub10


1/31(金)東京・代官山UNIT
2/1(土)名古屋・Club MAGO
2/2(日)金沢・MANIER
2/3(月)大阪・CONPASS
【出演】コード9、DJラシャド、ローレル・ヘイロー、アイコニカ
http://www.beatink.com



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