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【追悼】ヴァイオリニスト ウェルナー・ヒンク 81歳

ウェルナー・ヒンク
Photo: Wilfried Kazuki Hedenborg

ウィーン出身の世界的ヴァイオリニストで、ウィーン・フィルのコンサートマスターを長く務め、ウィーン弦楽四重奏団を主宰したウェルナー・ヒンク氏が2024年5月21日に亡くなりました。81歳でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(タワーレコード)

ヒンクの死を悲しむ
井阪 紘

ウィーン弦楽四重奏団が日本RCAとレコーディング契約をしたのが1973年で、その時にウィーンでシューベルトの「死と乙女」「四重奏断章」とハイドンの「皇帝」「日の出」の2枚のレコーディングをした。
以来、ヒンクと私の音楽上の交わりは50年続いたことになる。
1978年に日本ビクターを辞して、自分たちのレーベル、「カメラータ」を立ち上げたときも、最初に参加して「仕事を一緒にやろう」と言ってくれたのもヒンクたちであった。
そのおかげで、世界にも類を見ないシューベルトの弦楽四重奏曲全集を完成させることもできたし、ヒンクの優しく、やわらかい音、音で包んだ遠山慶子さんとのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ選集も録音でき、申し分のない仕事を我々はやり通せたとも言える。
ヒンクのヴァイオリン演奏の秘密は、どんな時でも心の通わない鋭角な硬い音では弾かないこと。響きを大切にして、温かい音で奏でる。それは、「死と乙女」の冒頭のイントロからテーマに移り行く音の運びを少しでも聴くと、すぐに解ってもらえるだろう。
ある時、意を決して、私には4回目になるバッハの無伴奏ソナタとパルティータの全曲を録ってみないかと持ちかけた。慎重な彼は、何回かに分けて、充分弾き込んでは、一曲、一曲と録る方法を選び、私もそれに応じて音響の良いホールを慎重に選んで対応した。
2000年から始まって、2002、2004年と3回のセッションで2曲ずつ録った。
コンサートマスターとしてのヒンクは、指揮者がppを要求しているとき、率先して美しく、柔らかく、芯は強いが細い音でそれを顕した。それによって皆を従わせる特技が見事であった。
やっぱり惜しい音楽家を私たちは失ってしまったのだ。

ウェルナー・ヒンク
Photo: Hiroaki Nakano

ウィーン弦楽四重奏団
【参考画像】ウィーン弦楽四重奏団の日本RCA盤LPのアートワーク

ウェルナー・ヒンク
1943年3月18日生まれ、墺・ウィーン出身のヴァイオリニスト。6歳よりヴァイオリンを始める。ウィーン市立音楽院を経て、ウィーン音楽アカデミー(現・ウィーン国立音楽大学)にてフランツ・サモヒルに師事。64年にウィーン国立歌劇場管入団後、ウィーン・フィルに第1ヴァイオリン奏者となり、ウィーン弦楽四重奏団を結成。68年に首席奏者、74年にコンサート・マスターに就任。新ウィーン八重奏団のリーダーのほか、ソリストとしても活動し、モーツァルト、バッハ、ヴィヴァルディ「四季」などを定期演奏会で演奏。ウィーン・コンセルヴァトリウムの教授として後進の育成に尽力。親日家としても知られる。2024年5月21日に死去。81歳没。
(CDジャーナル)

※ 現在入手可能な主なディスクをご紹介いたします(2024年5月24日現在)

レコード・アカデミー賞受賞盤

1981年4月 ウィーンでの録音。1982年度、レコード・アカデミー賞受賞盤。ウェルナー・ヒンクを中心としたウィーン・フィルメンバーにより、1964年に結成されたウィーン弦楽四重奏団は、ウィーン室内楽の正統的な演奏グループとして認知され、その演奏活動・録音は世界的に高い評価を受けました。このアルバムに収められたシューベルトの代表的な弦楽四重奏曲でも、流麗でしなやかなウィーン的情緒をみなぎらせ、歌曲の王、シューベルト特有の詩情を見事に表出して、数ある同曲の録音の中でもひときわ傑出した演奏と評価されています。


ヒンクのソロ・ヴァイオリンの名盤

ウィーン・フィルのコンサートマスター、ウェルナー・ヒンクと遠山慶子がモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの録音を開始してから2011年でちょうど20年。その節目の年に、5枚のアルバムを高音質CDのBOXセット化したもの。2010年に第51回毎日芸術賞を受賞するなど、各方面で絶賛されたふたりにしか表現できない極上のモーツァルトを存分にご堪能ください。


クラリネットの名手ライスターとの共演盤

モーツァルトの名曲をカール・ライスター、ウィーン弦楽四重奏団が至極のアンサンブルで聴かせる夢の競演盤。両者の初共演にして最高傑作と呼ぶにふさわしい名盤が最新リマスタリングで復活。


ウェルナー・ヒンクの著書

クライバー、ベーム、カラヤン、小澤征爾ほか名指揮者たちとのエピソード、室内楽の喜び、コンマス登用試験の秘話、日本ツアーの思い出、演奏仲間や家族への想い・・名指揮者バーンスタインが「ヒンケルレ(ヒンクちゃん)」と呼んで愛した、ウィーン・フィルの元コンサートマスター、ウェルナー・ヒンクが語り下ろした名門・名手の素顔。日本オリジナル企画!本人提供の貴重な写真を多数掲載!


ヒンクのソロ CD一覧





ウィーン弦楽四重奏団 CD一覧





五重奏、三重奏 CD一覧



カール・ライスターとの共演 CD一覧


ウェルナー・ヒンク
ウェルナー・ヒンク

カテゴリ : Classical

掲載: 2024年05月24日 00:00

更新: 2024年06月05日 10:30