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インタビュー

ナタリー・ワイズ

《ブレイク前夜のイチオシ・アーティスト 003》
正統な武器を持っている人たちの、美しい音楽

【ナタリー・ワイズ】BIKKE:Spoken Words、斎藤哲也:Keybords、高野寛:Guitar+Vocal/Chorus
 無期活動停止中のトーキョーNo.1ソウルセットのBIKKE、アンダーカレントの名キーボードプレイヤーの斎藤哲也が2000年9月に結成。2001年6月、高野寛が正式に加入してバンドに。その初めてのセッションの模様が完全限定盤として2001年8月に発売された。
2002年1月23日には、初めてのアルバム『Nathalie Wise』がリリースされた。

 
ナタリー・ワイズでのBIKKEは、ソウルセットのBIKKEと同じ人で、でも全然違う人に聞こえる。声も歌詞の内容も、ほとんど変わってはいないのに、非常に伸びやかでどこか解放されているような気がするのだ。この人は、今まで立っていた場所から、少しスライドして、新しい地平に移ったのだろう。そう思うのは、BIKKE個人の心境や環境の変化という理屈付けを考えるよりも前に、単純に音として気持ちがいいからだ。


それがナタリー・ワイズの音楽の美しさだと思う。BIKKEをそこに連れて行ったのは、間違いなく高野寛と斉藤哲也の、「正しくきれいな」音だろう。個人の感覚という言葉を免罪符に、狭い表現に開き直っていた90年代的な立ち位置ではなく、きちんと美意識を養い、それを実現する技術を得てきた人たちの迷いのない強さが、BIKKEという、今もちゃんと戦い続けている異才の詩人の不器用さを完全に許してあげているように思う。

正統な武器を持っている人たちの音楽だと思う。聴いていて単純に気持ちがいいというのは、そういうことなんだろう。

(編集部注:このインタビューはナタリーワイズの1stアルバムのレコーディング開始直前の2001年9月に行われたものです)

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2002年05月16日 19:00

更新: 2003年03月07日 19:28

文/三浦恵