ナタリー・ワイズ(3)

メロディもない、ドラムもない。 なんか、音楽じゃないのかもね

高野　ドラムは入れない（笑）。今のとこそれが最大の掟。レコーディングの最初の日に、ドラム入れるのやめようよ、そうだねって（笑）。僕の印象では、ソウルセットはサウンドがやっぱりタフな感じなんで、時々言葉が埋もれちゃうなとは思ってた。で、斉藤くんとBIKKEが二人でやってるのを聴いた時に、これくらい音が少ないほうが言葉が生きてくるなって思って。


斉藤　メロディーもないし、リズム、っていうかドラムもないし、それぞれが感じたところできっとやってるんだけど、なんか音楽じゃないのかもね。


高野　普通のポップミュージックの約束は壊してるよね。


──初めて一緒にやってみてどうでした？

斉藤　例えばジャンルとか、何系だとかっていうくくりがあるじゃないですか。BIKKEも高野さんもそういうところから遠いっていうか、そういう部分は最初から自分と似てるなって思ってたから。


高野　単純に僕と斉藤君はやってて面白いですね。楽器で会話する感じが。自分の中の動物的な感覚でやってそれがうまく形になっていくっていうのは。


──BIKKEさんに対しては？


高野　歌詞書かなくていいからありがたいなあって（笑）。


BIKKE　最近は歌詞書かないでどうやって音楽に携わろうかって思ってるんだけど（笑）。書かないとないからね、自分の居場所が。だけどライブとかやっぱ楽しいし。だから辞めないんだろうね。


──ナタリーとソウルセットの違いってあります？


BIKKE　仕事が速い（笑）。それがいい！ 迷う時があるじゃないですか。最初の印象を疑っていくみたいな。ソウルセットってそういうグループだったんだよね。一曲に対してものすごく時間をかけて、ああじゃないこうじゃないって。そうするとラップってルールがあってないから、選択肢がいっぱいあって、決まらないんですよ。それがやだな、早く終わらないかなってずっと思ってて（笑）。


高野　僕も斉藤君もプロデューサー的なことをやってるから、たとえば僕が弾いた直後客観的に見えない時は斉藤君が聴いてて、判断したり、逆に僕がそうだったり、誰かがとりあえず聴いてる、ま、BIKKEもそうだし、そのコンビネーションがいまのところいいんだよね。