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インタビュー

藤澤志保

注目のクリエイターによるファンキー☆サウンドが、カラフルな気持ち良さを約束するよ!


  ガーリーでハッピーでキャッチーで……なんて書くと手垢にまみれた表現で恥ずかしくなるが、本当のことだからしょうがない。DJ活動を中心に自身のレーベル=EATも主宰する藤澤志保。昨年の処女作『HAPPY HOUR』は高品質なパーティー・チューンを満載した素敵すぎる内容で、サウンド・クリエイターとしての彼女の愛らしさを全開にした一枚だった。が、それから1年足らずで次のアルバムが届けられるとは、溢れんばかりの創作意欲じゃないか。

 ニュー・アルバムのタイトルは『FUNKY☆GIRL』。前作がファンシーなら今回は文字通りファンキーで明快だ。「ふだんのDJプレイや遊びからインスパイアされることが多かったです」と語るように、レイヴ調のエレクトロ“LUV & MSC”などダンス・トラックの強度は格段にアップ。一方、昨今のガーリーなエレクトロ・ポップを意識したようにも取れるアプローチは、例えば中田ヤスタカの音で耳が更新された(よね?)リスナーにも彼女の魅力を届けるはずだ。

「嬉しいです! 意識したというより、一人でも多くの人に聴いてもらいたいと思ってますね。今回は歌モノのポップスを作りたくて、そこに私なりのエッセンスを入れているんです。コンセプトは〈女子〉に決めて、アルバムの流れも、とある女性のひとつのストーリーとして作りました」。

 その物語を織り成すトラックはハウス~エレクトロを中心にした実に多彩なもの。「ヴォーカリストそれぞれの声や音域、雰囲気、歌っている時の状況などを想像しながら曲を作るんです」というだけあって、“C'mon BOY”に独特の空気感を挿し込むHIRO:Nをはじめ、荘野ジュリ、岡田響子ら各々の麗しい歌声は今回も最大限に活かされている。他には唯一の男声となる松田“チャーベ”岳二の登場も耳を惹くものの、やはり注目は藤澤自身がオートチューン・ヴォイスでリードを取った“MAGICAL SMILE”などの数曲だろう。本人がジャケに登場していることも示唆的だし、これまで〈歌わないシンガー・ソングライター〉的な役回りに徹していた彼女が、今回シンガーとしての自身を起用した意図とは?

「〈シンガー藤澤〉がついに出てしまったのは、歌詞が出来上がった時に〈これ、歌えるの自分しかいないや〉って思って(笑)。自分を前面に出してるのは、〈このキャラクターありきでこの音楽がある〉ってことを理解してもらえたら、っていう希望でもあるんです」。

 すでにQ;indiviやmihimaru GTのリミックスも手掛け、EATからの新人リリースにも力を入れていきたいという彼女。聴くたびに発見のある素晴らしい『FUNKY☆GIRL』は、そのカラフルな未来への招待状になることだろう。

▼関連盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年02月26日 13:00

更新: 2009年02月26日 17:39

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/出嶌 孝次