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インタビュー

TOWA TEI

ねえ、あなた、いつもより大きくなってる──BIGにしてFUN、FUNにしてBIGな夜の入り口はこちら。最高のアダルト・オリエンテッド・アルバムが登場だよ!!

作っていておもしろかった


撮影/Kazunali Tajima

  クラブ・サウンドからJ-Popまで。常に話題作を手掛けてきたテイ・トウワが、4年ぶりとなるアルバム『BIG FUN』をリリースした。今回も前作『FLASH』に引き続き、コンセプトを立てて作り込むのではなく、自然発生的に出来た曲を仕上げていくやり方で生まれたもののようだ。

「長年、自分なりに音楽を聴きまくって、作り続けてきた。それがやっとある種の自信にもなってきたんだけど、その一方で〈一言のジャンルで括れちゃう〉ものの弱さを感じるようにもなってね。例えば〈ユーロビートで!〉ってコンセプトはわかりやすいし、そのぶん売れる確率も高い。でも確実に賞味期限がある。そういう音楽と自分の作品は一線を画したいって思うようになってさ。余計なことを考えず、自分にとって聴いたことのない音や、一瞬の音の響きを追求し続けたいって思ったんだよね」。

 レコーディングも前作同様、ターンテーブルによるサンプリングや打ち込みの多用など、特別なことはせずあえてベーシックに。ただメイン機材をモバイルに変えたことで、制作の自由度は増した。

「モバイルにして、どこででも作れちゃう環境になったのは大きい。〈やるぞ!〉でなく〈やるかも〉って時、持っていればいいんだから。閃きや思いつきも形にしやすくなったよね。今回も歯医者で治療を受けてた時に(笑)、この曲のヴォーカルはMEGに頼もうって閃いて、タクシーの中でメールしたり、作業とかした。実際に良い具合に曲は出来たんだけど、やはり作っていておもしろいよね。肩肘張らずに音楽を作れるようになったのはモバイルのおかげってのは確かにある」。

 そんな楽しい作業が昇華されたサウンドには、彼らしいハートをくすぐるユーモアと、ラグジュアリーなエキゾティシズムがたっぷり。宝石のようにスタイリッシュな音からは心地良い多幸感とアダルトなゆとりが溢れてくる。

「頭にあったのは、主張しすぎず一歩引いたイメージ。オラオラしすぎない(笑)。でも、妙に楽しい。そんな感じのものがいまの自分に合ってると思った。あとはやっぱり聴く人がイマジネーションを膨らませたり、また聴きたくなるアルバムを作れればなと思ったんですよね」。

 ゲストのほうも華やかだ。MEG、小山田圭吾、細野晴臣、太田莉菜、羽鳥美保、VERBAL、MADEMOISELLE YULIA、森俊二……と、キレイどころからヴェテランまで、実に個性的な顔ぶれが揃った。

「このラインナップもやはり思いつきとか成り行きだね(笑)。YULIAは、僕がTERIYAKI BOYZのプロデュースをやってる時にVERBALから紹介されて、こっちでも歌ってもらった。そのVERBALはたまたまスタジオにいて、歌いたくなったって言うから歌ってもらったり。すべて〈流れ〉です(笑)。それにしても細野さんなんて、最近ブラック・ミュージックに傾倒してるって言ってたけど、ベースを弾いてもらったら本当にレイドバックしてノリノリ。素晴らしかった。ラッキーだったね」。
▼テイ・トウワのアルバム。


SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINE名義の97年作『SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINE』(イーストウエスト)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年03月05日 20:00

更新: 2009年03月05日 22:17

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/大野 智己、出嶌 孝次