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インタビュー

ストレイテナー

〈宝の持ち腐れ〉と再会を果たし、さらにもう一本絆を繋いだ彼ら。さて、〈テナー新章〉の幕開けは……?


  ストレイテナーの新作『Nexus』が本気でカッコイイ。こんなに早く〈4人テナー〉がこのような作品を作ってくるとは、正直思っていなかった。なにしろ〈3人テナー〉が鉄壁なものであったし、昨年春のプリプロから加入した新ギタリストの大山純はART-SCHOOLを脱退して以降、音楽活動からは離れていた人物だ。

「『リニア』(2007年)のツアー中、4年ぶりに再会して。純くんは地元の群馬でフツーの仕事をしたりして、音楽はやってなかったみたいなんですよね。で、それは宝の持ち腐れだろうって話から、(ストレイテナーに)入っちゃえば?ってことになって。タイミング的にバンドが〈何か〉を求めていたところでもあったんですよね。もう一本ギターを……とかいう具体的な考えはなかったんですけど、『リニア』がスタジオ色の強いアルバムっていうか、ライヴを意識せずに作ったアルバムで、それを引っ提げた全都道府県ツアーをやった。そして気持ちが〈ライヴ〉に戻った衝動で翌年に『Immortal』を作ったんだけど、そこで3人でやれることはやり切ったかなっていう達成感があったんですよ。そのタイミングでその宝の持ち腐れと再会して(笑)」(ホリエアツシ、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 大山を迎えたことはもちろん、3人での鉄壁のアンサンブルを崩すことは大きな賭けだっただろうが、それでも決して〈3+1〉ではなく、大山を加えた〈1×4〉という算式で、彼らは新しい世界を弾き出していった。

「自由でしたね、ホント。曲のアイデアを持ち込んだ時点で〈こうなるだろう〉っていうイメージもあまり描かず、結構その場で自由にやっていくなかで拓けていきましたね。3人で曲を作っていたときは、わりとリズムをガッチリ作ることに集中して、自分のギターのアレンジとかもレコーディングのときに試そうかなってぐらいの気持ちで作ってたんですけど、4人になってからは、いきなりそれぞれが自分のパートを考えて、展開によってはメロディーも変わっていくとか、現場で曲が出来ていって、どんどん景色が見えていくっていう」。

 エモーショナルなツイン・ギターで幕を開ける“クラッシュ”から、荒々しいギター・リフの果てに優しいメロディーが待ち受ける“Magic Blue Van”、ホリエのピアノを絡めたファンタスティックかつカオティックな“蝶の夢”、バラードの“イノセンス”、ポップな展開がストレイテナーの拓かれた現在を明示するかのような“ネクサス”――それらからは、ロック・ミュージックとしてのあり余るカタルシスも当然持ち合わせながら、決してダルに陥らないサウンドメイクの緻密さ、そしてホリエアツシの〈良い歌を届けたい〉というソングライターとしての意気を、改めて思い知らされた。

「歌には力入ってますね。そこは4人になった影響がデカいかな。バンドでどう変化が起きようと、自分である程度メロディーと歌詞を作っちゃうと、先に出来ちゃってるものに寄せがちになるんですよね。今回は詞を後で書いてみたりとか、バンドのアンサンブルありきでメロディーを乗せたりとか……そうすると違ったものが見えてくる。ストレイテナーの核っていうのは、やっぱり曲と歌の良さ。特にこの2年ぐらいでそれは意識するようになって。そういった意味では、これからのストレイテナーも見据えつつ、結果、初期衝動的なニュアンスも生まれつつ、僕らの集大成みたいな作品になったんじゃないかなと思いますね」。

 絆、結合、関連、集合体といった意味を持つ『Nexus』、ここに完成せり。

▼ストレイテナーの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年03月12日 00:00

更新: 2009年03月12日 17:52

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/久保田 泰平