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インタビュー

TARO SOUL

自身の心の内をさらけ出し、いま伝えたいメッセージを存分に込めた初のフル・アルバム。とにかく前向きな彼のエネルギーを感じよう!


  昨年5月にミニ・アルバム『BIG SOUL』でメジャー・デビューを果たしたTARO SOUL。それから約10か月を経て、待望のニュー・アルバム『SOUL SPIRAL』を完成させたが、わずか10か月という短い期間でも、「『BIG SOUL』の頃といまとではメンタリティーがぜんぜん違う」と語る。

「『BIG SOUL』の頃はスキルをもっと追究したいという気持ちが大きかったし、正直自分の内面をリリックに落とし込む自信がまだなかったんですね。自分の内面をさらけ出すことを躊躇していたというか。だけどメジャー・デビューして以降、いろんなところでたくさんライヴをするようになって、自分がただ楽しんでライヴをやってるだけなのに、〈勇気をもらいました〉って言ってもらえたり、リリックにすごい反応してくれるお客さんを目の当たりにして、〈俺でも人に何かを伝えることができるんだ〉って思うようになって。そこから音楽をするうえで、俺がみんなに伝えるべきことは何なのかをすごく考えるようになったんです」。

「何かを伝えるためには、俺のいままでの成長過程や、その時その時の思いを全部さらけ出す必要があるなと思って。すごくイイことを言ってても、正直腑に落ちない曲もあったりするし、だったら正直にさらけ出したほうが説得力があるんじゃないかなと思ったんです」と語る通り、本作には彼の心情を素直に綴った楽曲がズラリ。もちろん、「パッと聴くぶんには格好良い曲だけど、歌ってることは相当アホ(笑)。マボロシは格好良いアホ具合を出してくれる最高のミュージシャンなので、そこを吸収したいなと思ってました」というマボロシをフィーチャーしたウェッサイ・チューン“夕陽のソウルメン”や、「ラップもこれだけできますよって見せた曲。格好つけてセルフ・ボースト(自己アピール)してるけど、全編バスケ・ネタで歌ったり、遊び心が満載ですね。真面目な曲をやってる反面、遊ぶことも大事かなと思って。それがヒップホップの魅力でもあるし」と語る、SIMON参加の“Shake and Bake Again”など彼の遊び心やテクニカルなフロウを堪能できる曲も多数収録されている。しかしいちばんの聴きどころは、やはり赤裸々なまでに心情を吐露したメッセージ・ソングの数々だ。とりわけ先行シングル“Soul Dreamer”や、アルバムのラストを飾る“うまくなりてぇ”は、繊細なリリックと彼の前向きな姿勢が胸を打つエモーショナルなナンバーとなっている。

「“Soul Dreamer”はいまの自分をわかりやすく伝えた曲。俺のいままで生きてきた道のりや、場面場面でどういう考え方をしてきたかを振り返ってみたうえで、いまの自分の思いを素直に綴ってみました。好きなことを追いかけることの大事さとかが、わかりやすい言葉以上に伝われば嬉しいです。“うまくなりてぇ”はタイトルそのまんまですね(笑)。うまくなりたいんですよ、ラップも歌もリリックの書き方もライヴも。けどそれって料理人もサラリーマンも、みんな同じだと思うんです。みんなストラグルしながら前に進んでると思うし、〈俺もいっしょだよ!〉って歌った感じですね」。

 本作を作るにあたって自分自身を顧みたことで、「自分をプラスに持っていくことができた」というTARO SOUL。リスナーにも本作を聴くことで同じように前向きな気持ちになってほしいと語る。

「いろいろ大変な時代だけど、そういう時こそ自分を見つめ直して前向きにいくしかないのかなって思うんです。俺自身も今回自分を顧みることでポジティヴに次の一歩を踏み出すことができた気がするし、これからやりたいこともどんどん見えてきてます。俺のそういう姿を見てもらうことで聴いてくれる人も新たな一歩踏み出してくれたら、こんなに嬉しいことはないですね」。

▼『SOUL SPIRAL』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

▼TARO SOULが参加したアーティストの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年03月26日 17:00

更新: 2009年03月26日 18:19

ソース: 『bounce』 308号(2009/3/25)

文/川口 真紀

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