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インタビュー

ヒップホップ・バンドからポスト・ヒップホップへ

 

生楽器とサンプリング・ループの融合、バンドとラッパーの共存……そういった要素はアレステッド・デヴェロップメントやルーツ、クラウン・シティ・ロッカーズといった先人たちの名を挙げるまでもなくヒップホップ・ミュージックのなかに普通に存在するものだし、演奏を単に録るのではなくドラム・ループも用いてスタジオ作品らしく仕立てるという意味ではギャラクティックやブレイケストラ、あるいはオゾマトリのような演奏グループもヒップホップ的な手法を採り入れてレコーディングを行っている。

そんな状況を受けて、ホーカス・ポーカスは今回の『16 Pieces』でそれを一歩先に進めたように思う。彼らはライヴで追求しているような自由度の高いパフォーマンスをスタジオに持ち込み、生音でグルーヴを編み上げる必然性をラップ・ヴォーカルと共存させている。言うなればバンド・オリエンテッドなヒップホップではなく、ヒップホップ・オリエンテッドなラップ・バンドとでも呼びたい手触りが感じられるのだ。これはちょうど新作を発表したオーディブル・メインフレームにも通じる部分である。そういう意味で、無意識に同じようなスタンスでヒップホップ・オリエンテッドなミュージシャンシップを追求していたorigamiの面々とホーカス・ポーカスが合体したのは実に真っ当な流れだったと言えるだろう。

 

▼関連盤を紹介。

左から、オーディブル・メインフレームのニュー・アルバム『G.L.O』(GOON TRAX)、Shingo Suzukiの2008年作『The ABSTRACT TRUTH』、Ovallの2010年作『DON'T CARE WHO KNOWS THAT』(共にOrigami)、プロカッションズの2004年作『Up All Night』(MICLIFE)、Q・ティップの2001年録音作『Kamaal The Abstract』(Arista)、ロバート・グラスパーの2009年作『Double Booked』(Blue Note)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年06月17日 19:50

更新: 2010年06月17日 19:51

ソース: bounce 321号 (2010年5月25日発行)

文/ハヌマーン

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