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インタビュー

LONG REVIEW——Yun*chi 『Shake you*』



ヴォーカリストとしての真っ当な実力



Yun*chi



メジャー・デビューから5か月で届けられたセカンド・ミニ・アルバム。livetuneのkzが手掛けたリード曲“Shake you*”は、同じくkzが担った前作のリード曲“Reverb*”からの流れを感じさせるカラフルで煌びやかなエレクトロ・ポップだ。すこぶるキャッチーなこれらの楽曲でYun*chiに触れたリスナーは、彼女をまずさっくりと、ダンサブルでエレクトロなガール・ポップの系譜に連なる新アイコン……みたいな位置付けで捉えるかもしれない。だが本作を紐解くと、それはあくまでYun*chiの一側面であることがわかる。ここには単純なカテゴライズをするりとかわし、多様なサウンドのなかでそれぞれの表情を見せる彼女の姿がある。

ピアノやアコギが爽やかに鳴らされる疾走感たっぷりの“VOYAGER*”で快活に弾け、壮大なバラード“Shooting star*”では卓越した歌唱力でシンプルに勝負する。ファンタスティックで可憐なサウンドスケープを紡ぐ“Road”での無防備な歌声も魅力的だ。私的なベストは、Yun*chi自身のセクシャルな詞が鮮烈な“dual*”。浅田祐介のペンによるソウル・マナーのメロディーを、Avec Avecの細川拓久真がアーバンなシンセでコーティングした、どこまでも美しくやるせない気持ちになる1曲だ。ジャパニーズR&Bの血脈をしっかり受け継ぎつつ、モダンに構築しているのが素晴らしい。

キュートなセンスやアイコニックなルックスもさることながら、とにかく声が良くて歌が上手いというヴォーカリストとしての真っ当な実力がYun*chiの存在を際立たせているように思う。だからこそ、ガーリーなポップスも、グルーヴ重視のR&Bも、アッパーなダンス・チューンもモノにできる、ということなのだろう。今後の作品でもまた新たなサウンドを纏い、これまでにない表情を見せてほしいところだ。


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掲載: 2013年04月17日 18:01

更新: 2013年04月17日 18:01

文/澤田大輔