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インタビュー

西山瞳

経験を積んだトリオが奏でる、情感豊かでメロディアスなポエジー

優れた作曲能力も高く評価されるピアニスト、西山瞳。彼女の新作『シンパシー』は全9曲中、1曲のカヴァー曲を除き、他はすべてオリジナル曲だ。

「カヴァーしたのはビル・エヴァンスの曲です。ライヴではカヴァー曲をもっと演奏しますが、アルバムでは私のコンポジションを聴いてほしいという思いがありまして、前作もそうでしたけど、1曲はカヴァーにして、あとは私の書いたオリジナルで、という構成にしました」

新作でカヴァーしたビル・エヴァンスの曲は《ローリー》である。そういえば、前作『ミュージック・イン・ユー』には、エヴァンスに触発されて書いた西山瞳のオリジナル曲が収められていた。

「じつは、前作をレコーディングする段階で、かなり曲を書き溜めていたんです。で、その時のレコーディングで録音したいと思った曲が30曲ほどあって、もちろん、1枚のアルバムにすべてを収められるわけではないので、もう1枚アルバムを、と思っていました。それが今度の新作です。そういう意味で、新作は前作の続編という位置づけですね」

ドラムが池長一美、ベースが佐藤“ハチ”恭彦と、メンバーも同じピアノ・トリオによる演奏だ。新作において、そのトリオ演奏はさらに進化している。

「前作に比べれば、今回はトリオとしてのアンサンブルを重視した曲が多いんです。そして、この3人で、ツアーとか、一緒に演奏する経験を重ねてきたこともあり、空間を前よりも使えるようになっていると思います」

西山瞳の鮮やかな〈イメージ〉が投影された楽曲の数々。特に、冒頭に収められた、情感豊かなテーマを持つアルバム・タイトル曲《シンパシー》に始まり、2曲目、3曲目へと続くサウンドの連なりは、珠玉の如く美しい。緊密なトリオのインタープレイで演奏はスリリングに展開しながら、旋律を紡ぎだす西山のピアノには彼女の〈ポエジー〉が鮮やかに息づいている。

「演奏で何か新しいものが生まれてほしいから、決め事も設けず、佐藤さんと池長さんには自然な感じでやってもらっています。そして、二人とも、ベーシスト、ドラマーとして、というより、音楽家として、そこで行なわれている音楽の全体を見通して、演奏してくれる。それは嬉しいですね」
精妙で複雑な構造をもった楽曲も多いのに、より一体感を増した、このピアノ・トリオ演奏は精彩に富んでいて、それは想像力に働きかける音楽だ。

「このトリオならではのジャズ的なアンサンブルを、自分なりに極めたいと思っています」

LIVE  INFORMATION
『西山瞳トリオ9thCD「Sympathy」&LP「Music In You」発売ライブ』
4/27(土)西新井 カフェクレール
5/1(水)名古屋 ラブリー
5/2(木)大阪 ミスターケリーズ
5/4(土)枚方 ブルーライツ
5/5(日)倉敷 はしまや
5/6(月)広島スピークロウ

http://hitominishiyama.net/

掲載: 2013年04月23日 12:54

ソース: intoxicate vol.103(2013年4月20日発行号)

interview&text : 上村敏晃