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インタビュー

小林太郎 “鼓動”



小林太郎



[ interview ]

過去3枚のフル作と1枚のミニ・アルバムをリリースしているが、意外なことにシングルはこれがキャリア初だ。小林太郎のファースト・シングル“鼓動”は、メタル/ハード・ロック直系の重いギター・リフ、扇情的な4つ打ちのビート、切なく艶めいたメロディー、圧倒的にパワフルな歌声と、彼の得意技を凝縮した特別な一曲になった。さらに歌詞の面での進化も著しく、一途で情熱的なラヴソングとしてのクォリティーも高い。ひとつの楽曲、ひとつのライヴごとに急速に成長を遂げてゆく、未完の大器がまたひとつ新たな扉を大きく開けた。



〈自分という料理〉を作る段階



――今年上半期の小林太郎は、ずいぶん精力的に動いたんじゃないですか。半年を振り返って、思うことは?

「1月に『tremolo』をリリースして、第一目標をクリアしたかなという感じですね。小林太郎としてデビューしてから、レコーディング・スキルとか、いろいろ足りないところがあったんですけど、そこを勉強しながら、とりあえず自分のイメージの音を作ろうという目標がまずあって、『tremolo』で最低限、自分のイメージ通りの音が再現できたので。ライヴも、ワンマン・ツアーで東名阪回らせてもらったんですけど、お客さんとの精神的な距離感が近づいてるなって感じたんですね。わかりやすく言えば、すごい盛り上がるようになった。それから半年間、制作を挿みながらライヴをやって、東京、大阪、九州とか、安定してお客さんが入ってくれて、どこも盛り上がってくれたので、すごく落ち着いて次の制作に向かえたなと思います」

――それが今度のシングル“鼓動”に繋がっている?

「そうですね。『tremolo』のあと、第二目標はその時わからなかったんだけど、それが“鼓動”の制作のなかで出てきたなという感じです」

――いつ頃ですか、このシングルを作りはじめたのは。

「3月あたりに、次はシングルをリリースするということになったんですけど、1~2曲の制作というのは初めてで、どうしようかな?と。ただ、作りながら思ったことは、やっとオレにとってシングルを作れる段階になったんだろうなということで」

小林太郎_Asub6

――というと?

「いままでは、したいことや表現できることが、良くも悪くも多すぎて、まとまりがないところがあったんですよね。だからアルバムでは、ロックもあって、バラードもあって、ミディアムもあって……みたいな、10曲の範囲で自分を表現するという方法だったんですけど。やっとこのシングルの段階で、〈1曲だけ聴いてもらってもオレというものがわかりますよ〉という段階に来たんだなと、作りながら感じたんですよね」

――ああ。なるほど。

「〈何でもやりたいし、できる気もする〉というところをまず表現するのが『tremolo』の目標だったとすれば、第二目標は、そこから自分を削り取ること。そこの〈要る/要らない〉の判断基準すらも、まだ持ってなかったんですね。音楽的に良いから〈要る〉のか、それが自分の個性だから〈要る〉のかわかんなかったんですけど、いろいろある食材の中から、〈自分という料理〉を作る段階に来たのかな?と」

――その例えは、わかりやすいかも。

「いままでは、とにかく食材を集めて、聴く人に料理してもらってたようなものだったんだけど。これからは、もう食材は集めたから、全部使うわけじゃなく、材料は少なくてもいいから、自分で自分を料理しなきゃいけない。今回の“鼓動”と“蕾”というシングルは、それに気づかされた曲ですね。それが完成した曲というよりは、それに気づいて、第二目標に向けて歩き出すという挑戦的な意欲作なのかなと思います」


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掲載: 2013年07月17日 18:01

更新: 2013年07月17日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫