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インタビュー

INTERVIEW(4)――〈音楽をしたい〉という気持ち



〈音楽をしたい〉という気持ち



小林太郎_Asub5



――カップリングの“蕾”にも一言触れたいんだけど、こっちもすごく良いと思う。優しさとか、キャッチーさという意味では、ひょっとしてこっちのほうが上かもしれないと思うくらいに。

「オレも、両A面と言っていいぐらい、“蕾”は良い曲だなと思います。レコーディングで叩いてくれたドラムの人も、〈“蕾”がすごい良くてさ、家で10回聴いちゃったよ〉って。〈えーと、“鼓動”のほうは……?〉って(笑)」

――(笑)でも、そういう人、確実にいると思う。

「改めて思うのは、シングルが初めてで、カップリングも初めてなんですね。アルバムの曲は、全部100%の力で作ってるんですよ。でも“蕾”は、カップリングだと思えたからこそ、力が抜けた部分があって、“鼓動”よりもものすごくスムースに出来たんですよ。“鼓動”でとことん自分と向き合って、苦労して、そのあとに力の抜けた感じで、スッキリした気持ちで作れたのが“蕾”だった。だから、もしかしたら“蕾”のほうが、もっと自分に近いものになってるのかな?と思います」

――ああ、そうかもしれない。

「歌い方も、“鼓動”が張り詰めてる感じだとしたら、“蕾”は鼻歌で歌うぐらいがいいと思って、アレンジャーの宅見さんの自宅スタジオでレコーディングしたんですよ。そういうところで歌えたからこそ、リラックスできたのかな?と思いますね」

――そういう意味で、この2曲は表裏一体というか、繋がってる感じがすごくする。

「キーも同じで、イントロのリフも同じポジションなんですよ。“蕾”が初恋で、“鼓動”が、社会人になって、いろいろ経験したあとの恋愛ソング。でもたぶん、気持ちはどっちも変わってないんでしょうね。自分の気持ちに素直になる、という意味で。オレが今回したかったこともそうなんだなと思うし。さっきも言ったように、音楽を勉強するんじゃなくて、音楽をしたいという気持ちを、これからは大事にしたい。いままでは〈しなきゃいけない〉だったけど、〈音楽をしたい〉という気持ちを大事にしようと思ったからこそ、“鼓動”も“蕾”も、まず自分の気持ちを大事にする、という曲になったのかなと思います」

――『tremolo』の時に、〈意識して、無意識に書く〉というテーマを挙げていたでしょう。今回のシングルで、確実に、そのコツを掴んだんじゃないかな?と。

「音は、掴みましたね。今度は、言葉を掴みたい。あの時、音と向き合っていて、〈できねぇ!〉と言っていた時の悔しさが、いまは言葉に対してあるから。また大変なんですけど」

小林太郎_Amain

――いや、それを超えたら、もう最強でしょう。

「積み重ねだと思うので、言葉もできるだけ早く、自分のものにしたいですね。ただ思ったのは、音でも言葉でも、もともとの生き方が音楽ありきの生き方だから、オレが特に考えなくても、自然に考えてることが音楽に出るんだろうし、逆にそうじゃなきゃいけないんだろうなと思いましたね。音も言葉も。それこそ〈意識的に無意識になる〉という話ですけど、意識する必要もないぐらいに無意識に、音楽ができれば。それこそが〈音楽をする〉ことだなと最近思うので。バランスは難しいけど、それを実現したいです」

――なんか、太郎くんの話を聞いてると、〈他力〉という言葉が心に浮かぶんだけども。

「親鸞ですね。大好きです」

――宗教的な意味というよりは、心の持ちようの話としてね。〈音楽をしたい〉というのも、エゴで言ってるんじゃなくて、太郎くん自身が音楽を伝える媒介になってるという感じがするから。他力に任せて、すごく自然体になってる気がする。

「他力だと思うと、肩の力が抜けますよね。オレはただ、自分の姿を音楽で表現することのみが目標であって、意味なんだろうなと思うんですよ。それが必要とされると思うから、やってるだけ。自分で何でもできると思っちゃいけない。オレは音楽というもので、本当に自分と向き合うようになったなと思うんで、オレにとって音楽こそが、まず自分の使命なんだなと思います。趣味で音楽をやってるわけじゃなくて、小林太郎の音楽は、人に聴いてもらいたいからこそ、こんなにすげぇがんばってるんだろうなという気がしますね」

――今後のライヴ、楽しみにしてます。

「いま、夏フェスに向けてリハーサルをしてるんですけど、歌詞でもできるだけ素直に、というところにこだわったからこそ、歌う時もすごく熱が入るんですよ。言葉がストレートになってきたぶん、気持ちが乗せやすいというか。これをライヴでやったら、お客さんとどんなコミュニケーションが取れるのか、すごい楽しみですね」




カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2013年07月17日 18:01

更新: 2013年07月17日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫