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インタビュー

インタヴュー:ジョン・ロブ(『ザ・ストーン・ローゼズ・ストーリー 誕生と、解散と、復活と。』著者)

UK音楽シーンを変えた現在進行形の伝説、ザ・ストーン・ローゼズ。バンド結成直後からこのメンバーを間近で見守ってきたミュージシャン兼ジャーナリストのジョン・ロブ氏がザ・ストーン・ローゼズの歴史を紡いだ貴重な1冊がついに邦訳された。このバンドがポップカルチャーに与えた影響、音楽シーンにおける彼らの存在意義、15年ぶりの再結成でチケット22万枚が40分で完売するほど多くの人が魅了され続けるゆえん——アルバムやシングルのセールスを振り返るだけでは決してわからない一連のブームとその軌跡を、700ページに及ぶ『ザ・ストーン・ローゼズ・ストーリー 誕生と、解散と、復活と。』(原題は“The Stone Roses And The Resurrection Of British Pop”)において、情熱的かつ臨場感溢れる筆致できめ細やかに描いた著者が、執筆の経緯やバンドとの思い出を語ってくれた。

『ザ・ストーン・ローゼズ・ストーリー 誕生と、解散と、復活と。』の著者ジョン・ロブ氏。バンドとは30年来の付き合いで、ローゼズの歴史を間近で見てきた。写真は両者が出会ったリハーサルスタジオがあった場所で撮影されたもの。

——本書の執筆にあたってのいきさつを教えてください。

「もともとバンドはメアリー・アン・ホブというDJ兼ジャーナリストに話を持ちかけた。だが、彼女はこの役目に相応しいのは自分じゃない、ジョン(ロブ)だ、と私を指名したそうなんだ。それで彼らは私に依頼した、というわけさ。私はすべてといってもいいくらい彼らを見てきているから、結果的に彼らにとってもよかったんじゃないのかな。メンバーもまさかここまで知っているとは思っていなかったらしい(笑)。ローゼズのライブを2、3回観ました程度のライターが書くごく普通のバイオグラフィーになると考えていたんだとか。私はバンド結成当初、マンチェスター市内のリハーサル室で毎日懸命励んでいた時代から彼らのそばにいた。メンバーそれぞれ、さらに周囲の人間も知っている。それに私もマンチェスターをベースに生きてきたので、この地域ならではのことも熟知しているからね」

——大変なボリュームの本ですが、執筆期間はどれくらいかかりましたか?

「この本は15、6年前に出版した後、改訂版を刊行、そして再結成後に加筆した再結成版と、その都度手を入れている本なんだ。インタヴュー取材期間に1年かけ、その後執筆したわけだが、それ以前も以降も、彼らのそばでずっと過ごしてきたことを考えると、20年かけて執筆した、といってもいいかもね(笑)」

——メンバーと初めて会ったころのことを教えてください。

「地元ブラックプールで私が結成したパンクバンド、メンブレインズがマンチェスターのレコード会社と契約が決まって移り住んだのが83年。そのころ発行していた同人誌を置かせてもらっていた雑貨屋に、初期のベース、ピート・ガーナーが働いていたんだ。その店は(ザ・スミスの)モリッシーやジョニー・マーもよく出入りしている店だった。似たような環境の人間同士、ネットワークはすぐに広がって行ったよ。それがローゼズ・メンバーとの最初の出会いかな」


1996年に解散、2011年に再結成を果たしたザ・ストーン・ローゼズ。3枚目のアルバムリリースに期待が集まる

——本著ではリハーサル・スタジオでバンドとともに時を過ごしたことが描かれていますね。

「そう。あるときリハーサル・スタジオで、ピートに偶然会ってね。隣りの部屋でリハーサルしているっていうもんだから、『ええ!バンドやってたのなんて知らなかったよ!』ってびっくりしたんだ。そしたらヤツが『前にも言ったじゃん。ストーン・ローゼズってバンドやってるって』と。リハーサル室にはよく見かける顔がローゼズのメンバーとしていてね。それがイアンだった。彼はメンブレインズのギターが住んでいたフラットの隣りに住んでいたんだ。よく彼がキーボードを抱えて外を歩いているのを見ていた。毎日バスに乗ってジョン・スクアイアの家に行き、一緒に曲を書いていたころのことさ。当時はメンブレインズがインディーズ・チャートでいいポジションにいたから、彼らにとっては私たちのほうがコワイ存在だったらしい。もちろん私のバンドがアンダーグラウンドでちょっと知られていたところで、彼らのその後に比べたら無名も同然なんだがね(笑)」

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カテゴリ : Web Exclusive

掲載: 2013年08月08日 12:52

interview&text:稲村美紀/photo:Ian Charters@Blipfoto

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