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インタビュー

Cyrille Aimee



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ジプシーのライフ・スタイルがまさにハマったのよ!

生まれはフランスのフォンテーヌブロー。父はフランス人、母はドミニカ人で、クラシックとサルサやメレンゲといった音楽に囲まれた環境で育つ。幼い頃にアフリカとニューヨークで過ごし、やがてパリ近郊の村、サモア・シュ・セーヌに移り住む。そこはジャンゴ・ラインハルトの家族が暮らしたジプシー・スウィングのメッカ。ジプシーの文化やライフ・スタイルにたちまち魅了された彼女は、やがて音楽にも開眼、そして歌をうたうことの歓びも発見していく――これがこのたび初ソロ『グッド・デイ(It’s A Good Day)』をリリースするジャズ・シンガー、シリル・エイメーの経歴だ。

「ジプシー文化が私のライフ・スタイルになるのは瞬く間だった。まさにハマったのよ。毎朝起きてすぐにキャンプに遊びに行って、カメラを回して彼らの生活様式を撮影したわ。ジプシーの人たちの生活って音楽が大部分を占めている。料理をしているとき、ご飯を食べているときも関係なく音楽が鳴っている。そんな家族的な雰囲気が音楽に表れているでしょ? そこに惹かれたの。オープンで正直で少々荒っぽい感じがドミニカ人とよく似ていたことも共通点に感じられたし」

この『グッド・デイ』には、ジプシーとの出会いによってオープンで自由な精神を育み、音楽の扉を開いた彼女の新しい旅が記録されている。新たな旅のためにここで彼女が試しているのは、歌を中心としてジプシー・ギターにエレクトリック・ジャズ・ギター、ブラジリアン・ギターが三つ巴で絡むやり方だ。

「どのレパートリーも3本のギターをどうフィーチャーするかについて悩んだわ。それぞれがぶつかり合わないように注意し、曲のなかでしっかりと役割を果たすようアレンジするのが大変で。出身地やバックグラウンドがぜんぜん違う3人のスタイルをミックスさせて、まったく違った音楽を作ろうと試みたのよ」

しかし何といってもセンターで軽やかかつしなやかに躍動するシリルの歌声が素晴らしい。抜群の瞬発力とコントロール力を誇る彼女のスキャットは上等な演奏が並ぶ本作においてもっとも強力な存在感を放つ楽器のひとつだが、オープンな性格や高い対人対応力のようなものまでが透けて見えてくるのがおもしろい。

「自分たちのスタイルを確立したような気がする」と本作の出来栄えについて自信たっぷりに語ってくれたシリル。シタール、ウクレレ、バンジョーなどあらゆる弦楽器と絡むようなアルバムを作るという次なるチャレンジ・プランも話してくれた。共演したい人は?と訊くと、ボビー・マクファーリンの名前を即答。声の魔術師を同伴者に迎えて新たなヴォーカル表現を模索してみる、か。It’s A Good Ideaだ。



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年10月18日 10:00

ソース: intoxicate vol.106(2013年10月10日発行号)

interview&text :桑原シロー